政府が東京都など3都府県を新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」の対象に追加したのは、各地で「ドミノ倒し」の様相を呈する変異ウイルスの拡大抑止を図る狙いからだ。政府はさらなる感染拡大に警戒を強めるが、3回目の緊急事態宣言発令に追い込まれれば、東京五輪・パラリンピックへの影響は必至だ。
 「東京都でも変異株が急速に広がっている」。西村康稔経済再生担当相は9日の基本的対処方針分科会でこう述べ、強い危機感を示した。
 西村氏は会合で、関西圏の新規感染者数の7割が変異ウイルスに置き換わったと強調。都について「感染力が1.32倍と評価されている英国型が3割に達している」と述べた。
 政府が重点措置の追加に踏み切ったのは、「変異株が東京で拡大すれば飲食店への営業時間短縮などの対策が効かなくなる可能性がある」(首相周辺)ためだ。政府は、都内の新規感染者数が500人を超え、小池百合子都知事が要請の準備入りを表明した7日に適用の検討を開始。菅義偉首相は8日に西村氏ら関係閣僚と対応を協議し、重点措置を適用する方針を固めた。
 ただ、緊急宣言ではなく重点措置にとどめるのは五輪をにらんでのことだ。都への宣言は3月21日をもって解除したばかりで、「再々宣言」に至れば五輪開催を危ぶむ空気が強まりかねない。政府高官は「重点措置なら五輪への影響はない」とし、都幹部も「五輪への影響が大きい宣言は避けたい」と語る。双方の思惑が一致した形だ。
 一方、対象地域の選定にはちぐはぐさが残る。先行した大阪府、兵庫県と生活圏が重なる京都府を追加しながら、東京都と隣り合う埼玉、千葉、神奈川3県への適用は見送った。
 9日の基本的対処方針分科会では、3県を追加する必要があるとの意見が相次いだ。分科会メンバーの1人は会合後、記者団に「今後も対象が広がることを考えなければいけない。経験したことのないステージに入っている」と、警鐘を鳴らした。 (C)時事通信社