政府が東京都などに新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」の適用を決めた。緊急事態宣言が先月、全面解除されたばかりだっただけに、再び逆風にさらされる飲食や旅行業界は落胆の色を隠せない。同措置は春の大型連休中も続き、客足への期待もしぼんでいる。
 飲食業界では対象区域で営業時間の短縮が求められる。宣言が明けて徐々に営業時間を延ばそうとしていた矢先の要請に、ある外食大手は「また来店はしばらく控えよう、というムードになりかねない」と気をもむ。飲食店に酒類を卸すアサヒビールの塩沢賢一社長も「売り上げが落ちるだろう」と危機感を示す。
 時短要請には多くの外食チェーンが応じる見通しだが、不満もくすぶる。グローバルダイニング(東京)は緊急事態宣言中に出された東京都の時短命令をめぐり損害賠償を求める訴訟を起こしている。「飲食店だけが悪者扱いなのはおかしい」(居酒屋チェーン)との本音も漏れる。コロナ禍に耐え続ける飲食店の我慢は限界に達している。
 観光業界も厳しい。JR東海によると、大型連休期間の東海道新幹線の予約状況はコロナ前の水準に比べて3割程度にとどまり、2年連続で大型連休需要を失う憂き目に遭いかねない。金子慎社長は「感染拡大が止まらないと旅行を控える動きにつながる」と警戒する。
 適用地域では、域外への移動自粛も求められそうだ。東京などからの旅行客が期待できない中、「近場を旅する『マイクロツーリズム』のような、地域内で完結する旅行でしのぐしかない」(観光関係者)との声も上がっている。 (C)時事通信社