商品券や入浴剤、往復のタクシー代…。65歳以上の高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が12日から始まるのを前に、接種を受けた人向けに優遇策を設ける自治体が出ている。接種率向上と同時に地元経済を活性化させる「一石二鳥」を狙った動きだが、接種はあくまで努力義務で、国は一律的な優遇に慎重な姿勢を崩していない。
 東京都千代田区は、区内4カ所の集団接種会場で接種を受けた高齢者に「お土産」として入浴剤や健康飲料を無料配布する。区内に本社がある製薬会社2社の協力で実現したもので、「接種をちゅうちょしている方の一押しになれば」(担当者)と期待する。
 神奈川県横須賀市は、接種済証を入れて携帯できるオリジナルの「接種済証ホルダー」を配布し、市内の協力店で提示すれば割引などを受けられる仕組みを検討している。市は中心部の商業施設5、6階を集団接種会場の一つに選定。担当者は「街中の店舗は本当に大変。少しでも明るい話題になれば」と話す。
 静岡市は、専用のコールセンターやウェブサイトを通じて接種を予約する際、同時に会場までのタクシーの配車も予約できるサービスを用意した。片道500円、接種2回分で最大2000円を補助するという。
 計画が頓挫した自治体もある。埼玉県宮代町は町内で使える商品券計2000円分を配布する予定だったが、関連経費約6000万円を計上した補正予算案が3月下旬に町議会で否決された。「他にも予算を充てる事業がある」というのが理由で、町は対応を検討している。
 田村憲久厚生労働相は2月19日の記者会見で「(ワクチンを)打ったらお金を出すということは基本的に考えていない」と説明。自治体などの優遇策について、「打たない方々が極端に不利益にならない、差別につながらない範囲でやっていただきたい」と述べている。 (C)時事通信社