イスラエル・ Tel-Aviv Medical CenterのAyelet Grupper氏らは、維持血液透析を受けている腎不全患者と健康な医療従事者において新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンに対する液性免疫反応を比較検討。ワクチン接種後にほとんどの維持血液透析患者で液性免疫反応が認められたが、健康な医療従事者と比べて反応は弱かったとClin J Am Soc Nephrol2021年4月6日オンライン版)に報告した。

特に高齢患者でIgG値低い

 人工透析を受けている腎不全患者は、SARS-CoV-2に感染した場合に重症化するリスクが高いためワクチン接種が重要だが、感染症やワクチンに対する免疫反応が低下傾向にある。そこでGrupper氏らは、ファイザー・ビオンテック製のSARS-CoV-2ワクチン(BNT162b2)を2回接種した維持血液透析患者56例(人工透析群)と健康な医療従事者95例(対照群)を対象に、2回目の接種から30日目(中央値)に血液を採取し、液性免疫反応を検討した。

 その結果、対照群では全例が抗体反応陽性(50AU/mL以上と定義)と判定されたのに対し、人工透析群では56例中54例(96%)にとどまった。液性免疫反応が認められなかったのは、長期間低用量プレドニゾロンを服用し免疫抑制状態で、糖尿病、高血圧を併発する75歳男性と、90歳の糖尿病の男性だった。

 平均IgG値は対照群に比べて人工透析群で有意に低かった〔中央値7,401AU/mL(四分位範囲3,687~15,471AU/mL)vs. 2,900AU/mL(同1,128~5,651AU/mL)、U=1,238(Mann-Whitney U検定)、P<0.001〕。

 人工透析群、対照群ともに年齢と抗体価に逆相関関係が認められた。各年齢層で人工透析群よりも対照群で抗体価が高く、特に59歳以下と60~69歳で顕著だった。

 IgG値が第4四分位群に入るリスクは年齢が高くなるほど高く〔オッズ比(OR)1.11(1歳ごとに)、95%CI 1.08~1.20、P=0.004〕、対照群に比べて人工透析群で高かった(同2.71、1.13~7.51、P=0.05)。

 人工透析群ではIgG値が第4四分位群に入るリスクは年齢が高くなるほど高く〔OR 1.22(1歳ごとに)、95%CI 1.13~1.68、P=0.03〕、リンパ球数が少ないほど高かった〔同0.83(10-e3/μLごとに)、0.58~0.97、P=0.05〕。

 以上の結果から、研究責任者である Tel-Aviv Medical CenterのMoshe Shashar氏は「SARS-CoV-2ワクチン2回接種後にほとんどの維持血液透析患者で液性免疫反応が認められたが、健康な医療従事者と比べて反応は顕著に弱かった。健康状態にかかわらず年齢が液性免疫反応に重要な影響を与えていた」と結論。さらに「われわれの知見から、ワクチンが接種可能になったらできる限り早く人工透析患者にワクチンを接種することが勧められる」と付言した。

(大江 円)