【カイロ時事】イスラム教徒が多い中東などで13日、イスラム暦のラマダン(断食月)が始まった。預言者ムハンマドが神の啓示を受けた最も神聖な月とされ、5月中旬までの期間は信仰心が一段と高まる。普段より人の往来も増えることから、新型コロナウイルスの流行がやまない各国は感染抑止対策に苦慮している。
 ラマダン中は信徒に課された五つの義務の一つとして、日の出から日没まで飲食や喫煙を断つ。日没後は集まった親戚や友人らで「イフタール」と呼ばれる豪華な食事を楽しみ、歓談や祈りを夜通し続けるため、感染急拡大が懸念される。
 コロナ下のラマダンは昨年に続き2度目。サウジアラビアでは今年、聖地メッカへの巡礼者はワクチン接種済みか感染後に回復した人に限定。イラクでは、営業する店舗の従業員にはワクチン接種証明書の取得を義務付けた。サウジやアラブ首長国連邦(UAE)など各国の宗教権威は「ワクチンに栄養分はなく、筋肉注射なので断食に反しない」との見解を出し、ワクチンをめぐる不安解消と接種を促している。
 各国とも昨年は厳しい外出制限などで臨んだが、結果的に感染拡大を抑え切れなかった。中東最大の人口を有するエジプトでは今年も、大勢が集まる街頭でのイフタール提供は禁止。ただ店舗営業は夜間まで認めるなど、経済や宗教心に配慮して規制は昨年より緩和された。首都カイロに住む会社員ヌルハンさん(30)は「感染防止がおろそかになれば、感染者が増えて再び規制が強まってしまう」と心配している。 (C)時事通信社