東京五輪・パラリンピックの大会前に海外の選手が調整などを行う事前キャンプ地について、新型コロナウイルス感染拡大を理由に誘致を断念した自治体が相次いでいる。地元住民と交流する構想が消え、関係者は肩を落とすが、1年以上続くコロナ禍を前に、受け止めは冷静だ。
 宮城県栗原市は、南アフリカのホッケー男子チームの事前合宿に向け準備していたが、1月に断念。国が示す新型コロナ対策の指針で住民との直接交流ができなくなったことなどが理由だ。同市ではホッケーが盛んで、選手と地元の生徒が交流する計画だった。市担当者は「市民は楽しみにしていたと思う。とても残念」。
 島根県奥出雲町もホッケーが盛んで、強豪インドの誘致に注力。5億4600万円をかけ、ホッケー場を五輪で使われる競技場と同じ人工芝に張り替えるなどした。選手の練習見学や一緒にプレーすることを考えていたが、今年初め「受け入れが厳しい」と判断。移動車両や宿泊施設を貸し切りにする必要があり、負担増が避けられないことも影響した。
 誘致に関わってきた県ホッケー協会の杉原治理事長(68)は「ホッケー人口が減り、子どもが刺激を受ける良い機会となるはずだった」と落胆するが、インドの感染状況から「厳しいと思っていた」。担当者は「感染収束後に交流できれば」と話す。
 「パンデミック(世界的大流行)の影響で事前トレーニングは国内で行う」。1月下旬にカナダから連絡が来たのは、長野県岡谷市。同国卓球チームの合宿誘致に取り組み、約10人を7月中旬から約1週間受け入れ、交流する予定だった。市は選手の写真やプロフィルを公共施設に掲示し、市民が応援メッセージを送る企画を行う。
 岡山県総社市の片岡聡一市長にイランから直接連絡があったのは2月中旬。パラリンピックで柔道の選手ら5人が8月中旬にも来る予定だったが、「イランでコロナが大量発生している。日本では東京近辺に各種目を一極化させ、地方都市との交流事業はしない方向で理解してほしい」と言われ「めちゃくちゃショックだった」(片岡氏)。
 核問題に揺れるイランだが、片岡氏は「そういう国を平和裏に迎え入れるのは大事だと思う」と話し、引き続き交流を模索する。 (C)時事通信社