科学技術振興機構は14日までに、大手化学企業「カネカ」に委託した猫用の腎性貧血治療薬の生産技術開発が成功したと発表した。カネカは技術を国内の動物医薬品企業に供与し、国の承認を経て1~2年後に製造販売される見込み。高齢の猫に多い慢性腎不全から生じる貧血の初期段階から継続投与できるため、食欲が低下し、元気がなくなる症状の改善が進むと期待される。
 腎機能が低下すると、腎臓で分泌されて骨髄で赤血球の生産を促すホルモン「エリスロポエチン」が減り、腎性貧血となる。人間の場合は、人のエリスロポエチンを遺伝子組み換え技術を使って動物の細胞で生産した治療薬がある。猫の腎性貧血治療にも人のエリスロポエチンが使われるが、アレルギー反応などの副作用があり、末期に数回しか投与できなかった。
 同機構は、猫のエリスロポエチンを生産して治療薬にするため、当時名古屋大教授だった飯島信司愛知工業大教授の研究成果に基づき、2011年からカネカに技術開発を委託した。
 エリスロポエチンを生み出す遺伝子を、ウイルスを利用してニワトリの有精卵に注入。この遺伝子は卵白を作る雌の輸卵管でのみ働くよう工夫してあり、卵からかえった雌が成長して無精卵を産むと、卵白に猫のエリスロポエチンが含まれる。精製して治療薬にする際には、猫の体内で分解が遅くなり、薬効が長続きするよう、医薬品用の高分子化合物を結合させた。60匹に投与する試験を行い、22匹で赤血球が増える効果があった。 (C)時事通信社