新型コロナウイルス(COVID-19)に関連した症状はいつまで続くのか。スウェーデン・Karolinska InstituteのSebastian Havervall氏らは、医療従事者を対象としたコホート研究を実施。COVID-19軽症患者の4人に1人で自己評価による中~高強度の症状が2カ月以上継続、1割前後が症状継続により日常生活に支障を来していると、JAMA2021年4月7日オンライン版)に発表した。

2020年4月15日~5月8日に登録者を募集

 COVID-19入院患者の約80%で、発症から数カ月後もなんらかの症状が続いていると報告されている。しかし、軽症患者の長期的な転帰に関する知見は乏しい。そこでHavervall氏らは、医療従事者を対象としたコホート研究COMMUNITY (COVID-19 Biomarker and Immunity)studyを実施。COVID-19の長期予後について検討した。

 2020年4月15日~5月8日に、同国ストックホルム市内の病院に勤務する医療従事者4,375人から登録者を募り、2,149人(49%)に達した時点で募集を打ち切った。

 登録時に血液検査を実施。その後は4カ月ごとに再検査を行った。また、登録時に各症状(発熱、頭痛、嗅覚障害、味覚障害、咳、倦怠感、かぜ、腹痛、喉の痛み、息切れ)の有無と強度(低または高)、慢性疾患(高血圧、糖尿病、心血管疾患、肺疾患、腎疾患、肝疾患、神経性心疾患、筋肉・関節疾患、甲状腺疾患)の有無について回答してもらった。

 登録から8カ月後(2021年1月11~29日)に、スマートフォンのアプリを用い、登録時と同じ項目を含む23症状の有無、継続期間(2カ月未満、2カ月以上、4カ月以上、8カ月以上)、強度(低・中・高)を報告してもらった。

 2カ月以上続く症状については、シーハン障害尺度を用いて仕事、社会、家庭生活の3領域における機能障害を評価。障害度は、0点:全くなし、1~3点:軽度、4~6点:中等度、7~10点:重度とした。

解析対象は抗体陽性例323人、抗体陰性例1,072人

 登録時に行った血液検査では、393人がIgG抗体陽性だった。重篤な症状を示した陽性例50人、観察期間中の抗体検査で陽性に転じた404人は、解析対象から除外した。また、8カ月の追跡を完了できなかったのは、陽性群で20人、陰性群で280人だった。

 最終的な解析対象は、陽性群323人、陰性群1,072人。症状なしまたは低強度と報告した陽性例は年齢が中央値で43歳(四分位範囲33~52歳)、268人(83.0%)が女性だった。 一方、陰性例はそれぞれ47歳(四分位範囲36~56歳)、925人(86.3%)だった。慢性疾患があると報告したのは、陽性群で71人(22.0%)、陰性群で254人(23.7%)だった。

陽性群の15%で、中等度~重度の症状が8カ月継続

 解析の結果、中~高強度の症状が2カ月以上続く割合は、陰性群の9%に対し、陽性群では26%〔リスク比(RR)2.9、95%CI 2.2~3.8〕、8カ月以上続く割合はそれぞれ3%、15%だった(同4.4、2.9~6.7)。

 陽性群で2カ月以上続いた主な中~高強度の症状は、嗅覚障害、倦怠感、味覚障害、呼吸困難だった。

陽性群の8~15%が生活に支障

 長期間続く症状により仕事に中等度~重度の影響が及んだと報告したのは、陰性群の4%に対し、陽性群では8%だった(RR 1.8、95%CI 1.2~2.9)。同様に、社会生活に影響が及んだのは、それぞれ6%、15%(同2.5、1.8~3.6)、家庭生活に影響が及んだのは5%、12%だった(同2.3、1.6~3.4)。

 さらに、中~高強度の症状が少なくとも8カ月間継続し、シーハン障害尺度で中等度~重度の障害を来したことが示されたのは、陰性群の2%に対し、陽性群では11%と4.5倍に達した(RR 4.5、95%CI 2.7~7.3)。

 今回の研究結果について、Havervall氏らは「長期的に多様な症状を呈するCOVID-19軽症患者は少なくなく、仕事や社会、家庭生活に支障を来している実状が示された」と結論。その一方で、「想起バイアスの可能性や症状の評価が主観的であるという限界は否定できない」とコメント。「COVID- 19関連症状の長期予後について詳しく把握するには、さらなる研究が必要だ」と付言した。

(比企野綾子)