東京五輪・パラリンピックで海外観客の受け入れがなくなり、民泊業界への逆風が強まっている。新型コロナウイルスの感染拡大で、訪日外国人観光客は激減。2018年の住宅宿泊事業法(民泊法)施行以来、民泊戸数は増加してきたが、20年5月、初めて減少に転じた。五輪を頼みの綱としていた事業者は多く、関係者は「廃業が加速しかねない」と危惧する。
 観光庁によると、民泊戸数は20年4月まで右肩上がりで2万1385戸まで増加。五輪で訪日客が増えることへの期待が背景にあったとみられる。ただ、感染拡大で訪日客が途絶え、戸数は同年5月から減少傾向が続く。21年3月には1万9520戸まで減った。
 観光庁は20年9~10月、事業者が民泊の廃止を届け出た理由を調査。回答があった289件を分析すると、最も多かったのが「収益が見込めないため」で、全体の49.1%を占めた。この回答は前回19年の調査ではわずか7.2%。1年間で7倍近く上昇した形で、経営環境の厳しさが浮き彫りとなった。
 日本民泊協会(大阪市)によると、都市部の民泊は訪日客への依存が強く、特に経営が苦しいという。感染拡大前は五輪需要で宿泊代金が高騰し、通常の倍以上となるところがあった。協会の担当者は「今は高騰どころか空室だらけ。海外観客が来ないことへの落胆は大きい」と嘆く。
 苦境を乗り越えようと、民泊をテレワーク仕様に変更したり、賃貸物件として活用したりする事業者もいる。ただ、本来の民泊で見込んでいた収益まで持ち直すのは難しいのが実情だ。先の担当者は「現状が続くなら、この先本当に耐え切ることができるのか」とこぼした。 (C)時事通信社