【ニューデリー時事】平時から世界に供給されるワクチンの6割を生産し、「製造大国」として知られるインドで、新型コロナウイルスワクチンが不足し、混乱が起きている。当面の輸出にも影響が出る見通しだ。
 インドでは3月中旬から感染者が急増。今月15日の発表では24時間の新規感染者が20万人を超え、連日のように過去最多を更新している。既に夜間の外出が禁じられている首都ニューデリーでは、地元政府が土日を対象に昼間の外出規制措置を導入する方針を決めた。
 政府は11~14日、接種を加速させるための全国キャンペーンを実施。接種希望者は病院などに殺到したものの、各地でワクチンが不足し、接種拠点閉鎖が相次いだ。
 全国の新規感染者の半数が集中している西部マハラシュトラ州でも接種拠点100カ所以上が閉鎖された。民放NDTVは11日、「ワクチンも治療薬もない。神にワクチンと薬を下さいと祈っている」という州都ムンバイの大病院の医師の声を伝えた。
 接種に使用される英製薬大手アストラゼネカの新型コロナワクチンをライセンス生産するセラム・インスティテュート・オブ・インディアでは、生産設備の容量が逼迫(ひっぱく)。プーナワラ最高経営責任者(CEO)は地元メディアに対し、政府に300億ルピー(約435億円)の助成金を求めると語った。
 セラム社のワクチンは、世界保健機関(WHO)主導のワクチン共同調達の国際枠組み「COVAX」向けに輸出されてきた。また、インド政府のワクチン外交の一環として、周辺国などに約6500万回分が無償供与された。政府は3月下旬に輸出を制限したが、国内でのワクチン不足の一因となったとみられている。
 地元メディアによれば、政府は純国産の「コバクシン」増産と、13日に使用を承認したロシアの「スプートニクV」のライセンス生産で需要をカバーしようとしているもようだ。ただ、国内需要の高まりは今後も続く見通しで、セラム社製ワクチンの輸出は当面滞りそうだ。 (C)時事通信社