日本血栓止血学会は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防のワクチン接種について、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者から問い合わせが多数あったとし、接種に関する注意点をまとめ、4月5日に公式サイトで発表した。TTPはSARS-CoV-2ワクチン優先接種の対象となる基礎疾患に含まれるが、筋肉内投与により血腫が形成される可能性がある。しかしSARS-CoV-2に感染するとvon Willebrand因子が増加し病態が悪化することなどから、接種によるベネフィットの方が大きいとしている。

先天性TTP患者への接種は血小板数5万/uL以上を目安に

 今回、注意点をまとめたのは同学会学術標準化委員会VWD(von Willebrand病)/TMA(血栓性微小血管障害)部会で、先天性TTPと後天性TTPに分け専門医の経験に基づく見解として作成した。

 SARS-CoV-2ワクチンの接種経路は筋肉内であることから、血小に板減少時には筋肉内に血腫が形成される可能性がある。リスクを分ける明確な基準値はないが、先天性TTP患者に対するワクチン接種時の血小板数の目安として、5万/uL以上を提示した。

 また定期的に新鮮凍結血漿(FFP)を輸血中の患者は、FFP投与1~2日以内にワクチンを接種することが望ましいとした。

 一方、FFPの定期的な投与を受けていない患者では、血小板数が5万/uL以上であればワクチン接種は可能との考えを示した。

後天性TTP患者の一部に接種を推奨

 寛解期の後天性TTP患者および副腎皮質ステロイドで治療中の後天性TTP患者に対しては、SARS-CoV-2ワクチン接種が推奨されるとしている。

 急性期のTTP患者ではワクチンの有効性および安全性は確立されておらず、接種によるTTP治療への影響も明らかでないことから、接種は推奨できないとされた。

 リツキシマブ投与後の患者では、ワクチン接種を慎重に判断する必要がある。抗CD20抗体製剤であるリツキシマブは抗体の産生を抑制するため、投与後6カ月間はワクチン接種を避けるべきと考えられている。しかし欧州リウマチ学会は、ワクチン接種に関する一般的な考えとしてリツキシマブ投与後はワクチンの効果が減弱する可能性があるとしたものの、接種を考慮するとしている(Ann Rheum Dis 2020; 79: 39-52)。

(田上玲子)