BMJ誌は4月14日、今年(2021年)7〜9月に予定されている東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、開催を再考するよう促す論考を掲載した。「日本政府は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)克服の象徴として安全かつ確実に開催すると主張し、国際オリンピック委員会(IOC)も支持している。しかし、リスクとベネフィットに関する透明性が担保されておらず、オリンピックのような大規模国際イベントはいまだ安全でも安心でもない」と警鐘を鳴らしている(BMJ 2021年4月14日オンライン版)。現在、日本では聖火リレーが実施されているが、大都市圏を中心にCOVID-19の感染者数が急増しているため、今夏の開催をめぐり国内外からは懸念の声が寄せられている。

コロナ変異株の流入・拡散に懸念

 論考の著者は、英・London School of Economics and Political ScienceのKazuki Shimizu氏ら4氏。現在の日本におけるCOVID-19流行状況を「他のアジア太平洋諸国と異なり、封じ込めに成功していない」と分析し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査数の少なさやワクチン接種の遅れについて「政治的リーダーシップの欠如に起因している」と指摘。さらに「科学的根拠や道徳的要請を無視し、国内の政治および経済的な理由でオリンピックを開催することは、グローバルヘルスや安全保障に対する日本の基本方針にもとる行為だ」と日本政府の対応を批判している。

 その上で、COVID-19からアスリートを守るには「オーストラリアがテニスの全豪オープントーナメントで行ったような明確な戦略を立てる必要がある」と強調。オリンピック・パラリンピックの開催に際し「選手、大会関係者、報道関係者、マーケティングパートナーの検疫を免除すれば、新型コロナウイルス変異株の国内流入を招き、拡散させる可能性がある」と懸念を示した。

 また、COVID-19の影響で各国の予選・選考会が延期されている点にも言及。「今夏のオリンピック・パラリンピック開催を再考し、今後数年以内に国際的なスポーツイベントを開催するためのコンセンサス形成に向け、国際的に協力すべきだ」としている。

(平山茂樹)