子供の体力と学力はリンクしているのか。神戸大学人間発達環境学研究科の石原暢氏らは、中学生の体力と学業成績のデータを分析。その結果、部活動など体力向上につながる運動習慣は、苦手科目の成績に好影響を及ぼす一方、得意科目の成績には影響しないことが示されたと、NPJ Sci Learn2021; 6: 8)に発表した。

対象は中学1年生の男子255人、女子214人

 子供の体力と学力との関連については、盛んに研究が行われている。しかし、数学など単教科に限った検討であったり、結果に一貫性がなかったりと、これまでのところ統一見解は得られていない。

 そこで石原氏らは今回、札幌市内の公立中学校4校に通う1年生469人(男子255人、女子214人)を2年間追跡。体力の変化と得意または苦手教科の成績の変化との関連を検討した。

 体力は、20mシャトルランまたは長距離走(男子1,500m、女子1,000m)で評価した。成績の変化は、5段階評価による評定値の変化とし、5教科(国語・社会・数学・理科・英語)のうち評定値が最も低いものを苦手科目、最も高いものを得意科目とした。

体力向上で苦手科目が有意に改善

 分析の結果、中学1年から3年にかけて体力が向上した生徒では、苦手科目の成績が有意に改善することが示された(Pearsonの相関係数r=0.15、P<0.05)。一方、得意科目の成績との関連は認められなかった。

 世帯収入、親の学歴、性、BMI、放課後の勉強時間の変化といった成績に影響しうる体力以外の因子を調整した重回帰分析でも、これらの関連は維持された(苦手科目:β=0.15、P=0.002、得意科目:β=0.06、P=0.25)。

 石原氏らは「今後は、体力の向上がなぜ苦手科目に対してのみプラスの効果をもたらすのかを明らかにしていきたい」と展望。さらに「教科の違いに注目することで、従来の研究結果間の矛盾が解消できるかもしれない」と期待感を示した。

(比企野綾子)