【丹東(中国遼寧省)時事】北朝鮮が新型コロナウイルスを恐れ2020年1月下旬から国境を事実上封鎖して約1年3カ月。中国遼寧省丹東市から国境の鴨緑江を挟んだ対岸の北朝鮮新義州は人影が減り、静まり返っていた。中朝貿易品の7割が通過するとされる大動脈、中朝友誼(ゆうぎ)橋は列車や車の往来が途絶えたままだ。
 北朝鮮が4月中にも国境封鎖を解くという観測が広がり、韓国メディアは15日の故金日成主席の生誕記念日「太陽節」直後に中朝貿易が再開する見通しを伝えた。しかし16、17両日、橋を通過する列車やトラックは確認されなかった。
 丹東駅の貨物専用区域では18日、車体の横にハングルで平壌近くの駅名が書かれた貨物列車が前日に続いて停車していた。国境再開後、農期を迎え需要が高い化学肥料など農業物資を積んで北朝鮮へ向かう可能性がある。
 複数の中朝貿易関係者は17日、「貿易は再開しておらず、税関から再開の通知はない」と口をそろえた。丹東市内で北朝鮮産品を扱う店には入荷して1年以上たつ高麗ニンジン酒などが置かれていた。女性従業員は「貿易がいつ復活するか分からない」と困惑気味に語った。
 中朝友誼橋は線路と車道が並行して設置されている。物流の本格化にはトラック輸送が欠かせないが、18日、丹東税関でトラックを受け入れる区域は閑散としていた。
 中国税関総署によると、20年の中朝貿易額は前年比81%減の5億3900万ドル(約590億円)と激減。国連安保理決議に基づく経済制裁に加え、国境封鎖が大打撃を与えた。
 北朝鮮は長引く経済制裁にコロナへの厳戒態勢、台風被害などが重なり苦境にあえぐ。金正恩総書記は今月8日、経済難だった1990年代後半のスローガン「苦難の行軍」を再び掲げた。
 新義州の河岸では人の姿は以前より目立って減り、北朝鮮の遊覧船は運航していない。河岸の観光当局施設の前に大型バスが複数確認できたが、観光業者によると、中国人客の受け入れ中止の影響で「ずっとそこに停車している」という。
 一方、10階以上のビルの建設現場では作業員が溶接を行っていた。夜は電力不足の中でも富裕層向けとみられる高層住宅に明かりがともった。 (C)時事通信社