英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスのワクチンをめぐり欧州の対応が割れている。接種後に血栓ができる症例の報告が問題視される中、デンマークは接種を中止し、ドイツのメルケル首相は自ら接種を受けてみせた。
 デンマーク保健当局は14日、今後のワクチン接種について「アストラゼネカ抜きで進めたい」と表明した。「最優先で接種しなければいけない人たちの大半は終わったし、感染拡大も抑えられている」と説明している。使用中止の決断は欧州では初めてだ。
 パニエリュナシェ仏経済・財務副大臣は16日、民放「ラジオ・モンテカルロ(RMC)」に出演した際、アストラ製について、欧州連合(EU)がこれ以上の発注はしない事態も「大いにあり得る」と言及。米食品医薬品局(FDA)が一時使用中止を勧告した米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製と共に「アストラゼネカやJ&Jとは話をしていない。米ファイザーやモデルナとはしている」と語った。
 こうした雲行きにあらがい、メルケル独首相は16日、自らアストラ製の接種を受けてみせた。ツイッターに「アストラ製ワクチンを本日接種できてうれしい」と書き込んだ。「パンデミック(世界的大流行)から抜け出すにはワクチン接種は必須だ」と訴えている。
 世界保健機関(WHO)や欧州医薬品庁(EMA)もアストラ製について「安全だし効果もある」と結論付けている。デンマークも「他の国々が使うことは理解できる」と強調。既に確保した20万回分は保管し「状況が変われば、再び接種することもあるかもしれない」と態度を留保している。(コペンハーゲン、パリ、ベルリンAFP時事)。 (C)時事通信社