東京五輪の聖火リレーで、NHKが「五輪反対」と声を上げた人々の音声を消去し、反五輪団体が「意見表明の自由はある」と不信感を募らせている。NHKは「聖火ランナーの方々への配慮も含めさまざまな状況に応じ判断した」とするが、有識者からは「放送をゆがめる行為」と説明を求める厳しい声が上がる。
 問題となったのは1日夜、インターネットでライブ配信された長野市内の聖火リレー映像。7人目の走者が出発して約1分後に「オリンピック反対」「オリンピックいらないぞ」との声が聞こえた後、突然音声が消えた。無音状態は約30秒間続き、その後徐々に戻った。
 声を上げたのは、新型コロナウイルス下での東京五輪開催に反対する長野市民らの団体「オリンピックいらない人たちネットワーク(復刻)」。リーダーの染物業江沢正雄さん(71)によると、同日は10人ほどで間隔を取りながら横断幕を掲げ、小型マイクを使って抗議した。
 江沢さんは配信を見た人からの指摘で消音に気付いたといい、「意見を表明する自由は誰にでもあるのにおかしい。どういう意図で誰がやったのか経緯を知りたい」と憤る。16日、NHK側に抗議し、調査を求めた。
 立教大の服部孝章名誉教授(メディア法)は「放送をゆがめる行為で、五輪を傷つけないよう忖度(そんたく)したとみられても仕方ない」と批判。同大の砂川浩慶教授(ジャーナリズム論)は「NHKは国民の受信料で成り立っている公共放送であり、国民に分かる説明をすべきだ」と指摘した。
 上智大の水島宏明教授(同)は「一般的にセレモニーの場面なら音声を編集することはある」としつつ、「どういう場合に消すのか説明は必要だ」と話した。 (C)時事通信社