英国および米国による共同研究グループは、両国で実施された世界最大規模の栄養研究Personalised Responses to Dietary Composition Trial(PREDICT)において、血糖値が食後の上昇から数時間後に大きく下がるタイプは空腹感が強いなどの結果を、Nat Metab(2021年4月12日オンライン版)に発表した。

標準的な朝食と自由に選択できる食事を約2週間摂取

 これまで血糖値に関する研究では、食後2時間血糖値の上昇と下降に焦点が当てられてきた。しかし、空腹感の強度に血糖値が重要な役割を担っているか否かは明らかでなかった。

 今回、研究チームはPREDICTの参加者に標準的な朝食と自由に選択できる食事を約2週間摂取してもらい、1,070例における食後血糖値と食欲、エネルギー摂取の関連性を検討した。

 なお標準的な朝食は、総エネルギー量は同じであるものの炭水化物、蛋白質、脂肪、食物繊維の組成が異なるマフィンをベースにしたものとした。また参加者に持続グルコースモニター(CGM)および活動、睡眠を記録するモニタリング機器を装着してもらい、スマートフォンアプリを用いて空腹感と即応力、1日の食事時間と食事内容を正確に記録してもらった。

血糖値が顕著に低下した者は1日当たり312kcal多く摂取

 データを解析した結果、食後2~3時間後の血糖値がベースラインを下回る程の顕著な低下を示す者が存在していた。その後血糖値は回復していたが、同じ内容の食事を摂取していたにもかかわらず、他の参加者に比べこれらの者では空腹感が9%増しており、次の食事を摂取するまでの時間が平均30分短縮していた(r=−0.14、P<0.001)。

 さらに血糖値が顕著に低下した者ではそうでない者に比べ、朝食から3~4時間後に75kcal多く摂取しており(r=0.19、P<0.001)、1日当たり平均312kcal多く摂取していた(r=0.27、P<0.001)。それに伴う体重増加は年間9kgと算出された。

 標準的な朝食を摂取した際の血糖値の変動は個人差が大きく、わずかながら女性より男性で血糖値の顕著な低下を示した者が多かったものの、全体として年齢、体重、BMIと血糖値の顕著または小さな低下に関連はなかった。加えて、同一者が異なる日に同じ食事内容を摂取した場合でも血糖値の低下に多少のばらつきが見られ、血糖値が低下する程度は食事内容や活動レベルの違いだけでなく、代謝能にも影響されることが示唆された。

自身の体重管理の支援につながる可能性

 共同研究グループの一員である英・King's College LondonのSarah E. Berry氏は「今回われわれは、食後血糖値の上昇よりも低下が空腹感や余剰カロリー摂取量の予測に優れることを示せた」と述べている。同じく共同研究グループの一員である英・University of Nottingham のAna Valdes氏は、多くの者が減量に苦心し食欲が抑制できず、毎日数kcal余分に摂取することで体重が増加する点を問題視。「食後血糖値の顕著な低下が、空腹感や食欲に大きく影響するという今回の知見は、長期的な健康状態を理解し自身の体重管理の支援につながる可能性がある」としている。

(田上玲子)