香港・University of Hong KongのNicole N Y. Tsang氏らは、外来で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査に用いられた各種検体採取法の診断精度に関するシステマチックレビューおよびメタ解析を実施。欧米を中心とする23研究1万6,000検体超を解析した結果、鼻咽頭スワブをゴールドスタンダードとして比較した場合、プール方式の鼻腔および咽喉スワブでも良好な診断精度が得られたとLancet Infect Dis2021年4月12日オンライン版)に発表した(関連記事「PCR検査の感度は90%と高精度」「どう使う?鼻腔検体でのコロナ検査が可能に」)。

鼻咽頭スワブの代替検体を検討

 外来診療におけるSARS-CoV-2のPCR検査を拡充するため、鼻咽頭スワブよりも低侵襲で簡便に採取できる検体として、特定の集団における複数人の検体を混ぜて検査するプール方式の鼻腔および咽喉スワブ、唾液、鼻腔スワブ、口腔咽頭(咽喉)スワブなどが検討されている。ただし、これらの代替検体採取法の診断精度については比較データがなく、明確でなかった。Tsang氏らは、システマチックレビューとメタ解析を実施し、各種の検体採取法の診断精度を比較検討した。

 2000年1月1日~20年11月16日に公表された関連文献をPubMed、Embase、MEDLINEなどで検索。外来のSARS-CoV-2検査で採取された鼻咽頭スワブと、その他の呼吸器検体の診断精度を比較した論文を抽出。ペア検体のデータがない研究や感染確認後に検体を採取した研究は除外した。感度、特異度、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)は、変量効果モデルおよびdouble arcsine transformationを用いて算出した。

2種検体のプール方式で高感度

 主に症候性SARS-CoV-2感染疑いの外来患者7,973例・1万6,762検体を含む23研究(米国14件、欧州4件など)が特定された。検体の内訳は、鼻咽頭スワブ7,973件、鼻腔スワブ1,622件、唾液6,110件、咽喉スワブ338件、プール方式の鼻腔および咽喉スワブ719件。鼻咽頭スワブで1,353例が陽性と判定され、全体の感染率は17.0%(95%CI 16.2~17.8%)、研究別では4.3~84.1%だった。

 鼻咽頭スワブを標準とした検出感度は、プール方式の鼻腔および咽喉スワブが最高で97%(95%CI 93~100%)を示した。次いで鼻腔スワブ86%(同77~93%)、唾液85%(同75~93%)の順で、咽喉スワブは68%(同35~94%)と大幅に感度が低下した。プール方式の鼻腔および咽頭スワブの感度は、咽喉スワブに比べ有意に高かった(P=0.017)。

 PPVは、プール方式の鼻腔および咽喉スワブが97%(95%CI 90~100%)、鼻腔スワブが96%(同87~100%)と高く、次いで唾液93%(同88~97%)、咽喉スワブ75%(同45~96%)の順だった。また、これら4種の検体全てで高い特異度(97~99%)とNPV(95~99%)が得られた。

 プール方式の鼻腔および咽喉スワブは、医療従事者による採取と自己採取による層別比較でほぼ同等の診断精度が示された(感度、特異度およびNPVは有意差なし、PPVは自己採取でやや高く93% vs. 99%)。プール方式の鼻腔および咽喉スワブと咽喉スワブは、研究間で有意な異質性は観察されなかったが、唾液および鼻腔スワブの結果はばらつきが大きかった(I2≧30%)。

唾液と鼻腔スワブも許容可能

 以上の結果から、Tsang氏らは「鼻咽頭スワブとの比較において、プール方式の鼻腔および咽喉スワブが、外来診療におけるSARS-CoV-2 RNA検出の代替検体採取法として最も良好な診断精度が得られることが示唆された。唾液と鼻腔スワブも臨床的に許容できるが、咽喉スワブは感度とPPVが大幅に低く推奨できない。プール方式の鼻腔および咽喉スワブの自己採取は、診断精度に重大な影響は及ぼさなかった。今回の結果は、種々の臨床検体を用いたSARS-CoV-2検査結果の適切な解釈に有用なフレームワークを提供する」とまとめている。

 プール方式の鼻腔および咽喉スワブの有用性が示された点について、同氏は研究数が少なく限界はあるとした上で、「咽頭スワブと鼻腔スワブの組み合わせで、鼻咽頭スワブに匹敵する陽性率が得られるとの既報(J Clin Microbiol 2021年1月27日オンライン版)と一貫している」と説明。

 一方、今回の知見をコロナ専門病棟や無症状者の集団検診などに一般化することは問題があると指摘。「われわれの解析において、SARS-CoV-2感染率が低い環境で行われた研究では感度とPPVが低く、無症候性例の検体を含めると異質性に寄与する可能性が示された。外来診療以外の代替検体を用いる場合の診断精度に及ぼす影響を検討するため、さらなる前向き研究が必要」と述べている。

(坂田真子)