ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)といったレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬の長期的な使用が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡リスクや重症化リスクの上昇と関連しないことが示された。英・Norfolk and Norwich University HospitalのRanu Baral氏らは、COVID-19患者10万例超を対象にメタ解析を実施。その結果、RAAS阻害薬非使用者と比べ、死亡や重篤な有害事象リスクの低下が認められたとJAMA Netw Open2021;4:e213594)に発表した。

RAAS阻害薬使用者で死亡リスクが43%低下

 Baral氏らは今回、PubMedとEmbaseを用いて2019年12月31日~20年9月1日に発表された18歳以上のCOVID-19患者における臨床予後を評価した研究論文を検索。抽出された52件〔コホート研究40件、症例集積研究6件、症例対照研究4件、ランダム化比較試験(RCT)1件、横断研究1件〕計10万1,949例)について、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を実施した。なお、2万6,545例(26.0%)がACE阻害薬またはARBを使用していた。

 このうち死亡リスクについて、共変量で調整し解析した研究17件(計1万7,392例)のプール解析を実施したところ、RAAS阻害薬非使用者と比べて使用者では死亡リスクが43%有意に低かった〔調整後オッズ比(aOR)0.57、95%CI 0.43~0.76、P<0.001〕。

 また、重篤な有害事象〔集中治療室(ICU)入室または呼吸補助を要する状態〕のリスクについて、共変量で調整し解析した研究23件(計2万3,129例)のプール解析では、RAAS阻害薬非使用者と比べて使用者ではリスクが32%有意に低かった(aOR 0.68、95%CI 0.53~0.88、P=0.003)。

高血圧合併例では保護的効果が高い可能性

 さらに、対象を高血圧患者と複数の合併症を有する患者で分けたサブグループ解析を実施。共変量で調整しない場合と調整した場合のいずれにおいても、高血圧患者ではRAAS阻害薬の使用と死亡および重篤な有害事象の有意なリスク低下との関連が認められた(死亡リスク:調整なしのOR 0.66、95%CI 0.49~0.91、P=0.01、aOR 0.51、95%CI 0.32~0.84、P=0.008、重篤な有害事象のリスク:同0.70、0.54~0.91、P=0.007、0.55、0.36~0.85、P=0.007)。

各学会の推奨を裏付ける結果

 以上を踏まえ、Baral氏らは「今回のシステマチックレビューとメタ解析では、高血圧あるいは複数の合併症を有するCOVID-19患者において、ACE阻害薬またはARBの使用と多変量で調整後の死亡および重篤な有害事象のリスク上昇に関連は認められなかった。この解析結果は各学会の推奨を裏付けるものだ」と結論。

 その上で、「ACE阻害薬とARBはCOVID-19患者に保護的に働く可能性があり、特に高血圧を有する患者でより効果が期待できると考えられる。今後、RCTで因果関係を証明する必要がある」と述べている。

(岬りり子)