新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の再感染例が報告されている。米・Naval Medical Research CenterのAndrew G. Letizia氏らは、健康な若年成人を対象にSARS-CoV-2の再感染に関する前向きコホート研究を実施。その結果、SARS-CoV-2抗体陽性例の約1割が再感染し、抗体陽性例であってもリスクがあると、Lancet Respir Med2021年4月15日オンライン版)に発表した。

解析対象は全3回のPCR陰性の3,076例

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した若年成人における再感染リスクについては不明である。そこでLetizia氏らは、SARS-CoV-2抗体検査で陽性となった健康な若年成人の再感染リスクを検討する前向きコホート研究COVID-19 Health Action Response for Marines(CHARM)studyを実施した。

 参加対象は、2020年5月11日~11月2日に登録した18~20歳の米海兵隊の新兵3,249例。2週間の自宅待機後に、大学のキャンパスまたはホテルで、2週間にわたる監視下での隔離を行った。

 登録時にSARS-CoV-2抗体検査でIgG抗体を、登録0、1、2週目に鼻腔拭い液によるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を実施。さらに、年齢や性、危険因子、主なCOVID-19関連症状14項目とその他の症状、既往歴などについての質問に回答してもらった。

 3回のPCR検査で全て陰性だった3,076例(男性2,825例、女性251例)が、その後、海兵隊新兵訓練所での6週間の前向き研究に進んだ。

抗体陽性例の10.1%、陰性例の48.0%でPCR陽転

 前向き研究開始後2、4、6週目にPCR検査を行い、症状などの質問に回答してもらった。また、抗体陽性例では中和抗体価を測定した。

 その結果、抗体陽性189例のうち19例(10.1%)が、6週間の研究期間中にPCR検査でSARS-CoV-2陽性となった(1.1例/人・年)。一方、抗体陰性の2,247例では1,079例(48.0%)がPCR検査で陽転した(6.2例/人・年)。抗体陽性例の陰性例に対する罹患率比は0.18(95%CI 0.11~0.28、P<0.001)だった。

 Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析により、抗体陽性者では登録時に測定した全長スパイク蛋白質に対するIgG抗体価が高い群に比べ、低い群で再感染リスクが高いことが示された(ハザード比0.45、95%CI 0.32~0.65、P<0.001)。

 前向き研究開始時に行った中和抗体検査では、PCR陰性の54例中45例(83%)、陽性の19例中6例(32%)に中和抗体が検出された(ID50差 P<0.0001)。

 PCR陽性例のウイルス量を比較したところ、抗体陽性例では抗体陰性例の約10分の1だった(ORF1abサイクル閾値差3.95、95%CI 1.23~6.67、P=0.004)。

IgG抗体低値、中和抗体の非保有および低値が再感染に関連

 以上から、Letizia氏らは「健康な若年成人におけるSARS-CoV-2の再感染リスクは、抗体陽性例では陰性例の約5分の1であり、抗体陽性であっても再感染する可能性がある」と結論。「抗体陽性例における再感染リスクは、IgG抗体価の低値や中和抗体の非産生または低下と関連する」と考察した。

 さらに「初回のSARS-CoV-2感染によって誘導された抗体は感染抑制に働くが、再感染に対する免疫を保証するものではない。したがって、再感染による感染拡大を回避するため、既往歴のある若年成人に対してもワクチンの集団接種が必要かもしれない」と付言した。

(比企野綾子)