PCSK9阻害薬は、主に家族性高コレステロール血症(FH)、急性冠症候群(ACS)に対するLDLコレステロール(LDL-C)低下療法として用いられているが、薬価が高額であることなどから、適応例を明確化する必要がある。日本動脈硬化学会は、2018年に「PCSK9阻害薬の適正使用のための薬物治療フローチャート」(以下、フローチャート)を公表しているが、今年(2021年)4月6日、新たに公式サイトで「PCSK9阻害薬の継続使用に関する指針」(以下、指針)を公開。冠動脈疾患の二次(再発)予防におけるPCSK9阻害薬の継続使用について見解を示した。(関連記事:「動脈硬化学会がPCSK9阻害薬の使用に声明」

ACSでは1年、FHでは2カ月で評価を

 2017年に刊行された日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン(GL)』では、FH、ACSおよび高リスク病態(非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患など)を合併した糖尿病の再発予防において、LDL-Cの管理目標値を70mg/dL未満に設定。2018年のフローチャートでも、FHヘテロ接合体、非FH冠動脈疾患患者いずれの再発予防においても具体的な管理目標としてLDL-C値70mg/dL未満を明示し、スタチン最大耐用量かつエゼチミブ併用で効果不十分の場合は「PCSK9阻害薬の使用を考慮する」とした。

 今回の指針では、GLおよびフローチャートを踏まえ、PCSK9阻害薬の①適切な治療開始②継続使用の要件③GLに準拠した再評価―の3点を提示した()。

表. PCSK9阻害薬の継続使用に関する指針

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(日本動脈硬化学会PCSK9阻害薬適正使用声明文作成WG)

 その上で、対象を非FHの冠動脈疾患の再発予防、FH、スタチン不耐の3パターンに分け、PCSK9阻害薬の使用開始および継続期間の目安を記載。非FHの冠動脈疾患の再発予防では「リスクの評価を継時的に行った上で継続する」とした。ただし、再発リスクが高いACSについては管理目標値が低く設定されているため、漫然とした投与を避け「ACS発症の1年後を目安として、心血管イベントの発現リスクの再評価とLDL-C管理目標値の再確認が必要である」と記載。その上で、ACSについては「PCSK9阻害薬中止によりLDL-Cが管理目標値以下に達しないと判断される場合には投与継続する」と補足した。

 FHについては、PCSK9阻害薬を「原則として継続する」としたが、反応が認められない場合は中止するとした。評価のタイミングについては「2カ月程度を目途に判定を行い、漫然とした投与継続は避ける」とした。スタチン服用に伴い有害事象が生じたスタチン不耐例に対しては、エゼチミブなどでLDL-C管理目標値が達成されない場合、「PCSK9阻害薬の適正な使用対象と判断される」とした。

 同学会の公式サイトでは、PCSK9阻害薬適正使用声明文作成ワーキンググループ(WG)委員長で石川県立中央病院遺伝診療科診療部長の野原淳氏による解説動画も掲載。同氏は「使用開始、あるいは継続の判断に迷う場合は専門医に相談してほしい」と呼びかけている。

(平山茂樹)