新型コロナウイルスの感染が広がった昨年春以降、多くの企業がテレワークを導入しているが、対象はオフィスが中心だ。工場や店舗への出勤は続き、テレワークをしている人は全体の2割にとどまる。再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置でも実施率に変化はなく、「企業への影響力が低下している」(日本生産性本部)との見方が出ている。
 経団連が今年1月に実施した調査では、9割の企業がテレワークをしていると回答。約87万人の出勤を抑制したと推計する。在宅勤務が常態化し、オフィスへの出社率が3割程度に抑えられ、拠点の集約に踏み切る企業も少なくない。
 ブリヂストンは国内の主要オフィスを47カ所から34カ所に減らす。会社に社員全員の席はない。家で仕事をした場合には1日当たり200円の手当を支給しており、3月の出社率は3割にとどまった。
 一方、自動車や電機、鉄鋼など主要製造業の工場は通常通りに稼働を続けている。昨年春は操業を停止したが、「ものづくりは設備があるのが前提」(ダイハツ工業)といい、現場では感染防止対策の徹底でしのぐという手法が定着している。
 こうした状況は数字にも表れている。日本生産性本部の調査では、今月のテレワークを実施している雇用者の割合は19.2%と、昨年7月以降大きな変動はない。まん延防止措置が出された大阪・兵庫も18.4%と、ほぼ横ばいで推移しており、生産性本部は「措置が影響した様子はない」と結論付けた。
 テレワークができない理由としては、客先への対応やセキュリティーの問題など、企業によってさまざまだ。経団連の古賀信行審議員会議長は4月、テレワークの一段の拡大を求めた小池百合子東京都知事に対し、「人と接しないと進まない仕事も増えてきている」と述べ、業種や会社ごとの事情に配慮を求めた。 (C)時事通信社