日本精神神経学会と日本産科婦人科学会は4月23日、共同で編集した「精神疾患を合併した、或いは可能性のある妊産婦の診療ガイド:各論編」をそれぞれの公式サイトで公開した。昨年(2020年)公開された総論編に続くもので、ガイドラインのように指針を示すのではなく、診療の参考にするための解説としての位置付けだという。

うつ病やボンディング形成不全などへの対応を盛り込む

 妊娠、出産は女性の心身に大きな影響を与えるため、妊産婦への適切なメンタルヘルスケアが不可欠だが、精神科と産婦人科の両領域が緊密に連携して作成したガイドラインはなかった。そのため、日本精神神経学会と日本産科婦人科学会がそれぞれの視点から検討し、策定されたのが「精神疾患を合併した、或いは可能性のある妊産婦の診療ガイド」である。

 今回公開された各論編では、うつ病や双極性障害、児への情緒的絆を育むボンディングの形成不全など、妊産婦において特に注意すべき精神疾患や精神科的問題に関する概説および対応、予防法などが記載されている。さらに、妊産婦への向精神薬使用に対する考え方や個々の薬剤が妊娠および授乳期の母子に与える影響の他、母子に関わる医療・保健・福祉の連携の在り方なども盛り込まれている。

多職種連携のためのツールでもある

 各論編の作成に当たっては、総論編と同様に日本におけるエビデンスが多くないことから海外文献も参考にしているが、現時点ではエビデンスレベルや推奨グレードの表示はされておらず、個々の患者の状態を把握した上で診療の参考にするものとされている。また、精神科および産婦人科の医師だけでなく、行政を含む多職種連携のツールとなることを目指しているという。

(須藤陽子)