国の施策として実施された集団予防接種で、注射器の使い回しが原因で最大45万人が感染したB型肝炎ウイルス。患者らによる法廷闘争を経て、救済制度が創設された。
 集団接種が行われたのは1948~88年。結核予防法などに基づき、各自治体は乳幼児に予防接種やツベルクリン反応検査を実施したが、注射針や筒が使い回しされていた。
 ウイルスに感染し、慢性肝炎になった患者らは89年、国に損害賠償を求め札幌地裁に提訴。一審では敗訴したものの、二審で国の責任が認められ、最高裁も2006年、「遅くとも51年には『危険性がある』とする医学的知見が形成されたのに放置した」と国の責任を認めた。
 最高裁は、幼少期に感染したB型肝炎は20~30代で発症することがある特性も考慮。賠償請求権が20年で消滅する「除斥期間」の起算点を、予防接種時ではなく発症時と判断して原告全員への賠償を命じた。
 勝訴確定を受け、原告と弁護団は他の患者を含めた一律救済を要求。しかし、巨額の財政負担を懸念した国は救済に応じなかったことから、全国で700人超が追加提訴する事態に発展した。
 解決の契機となったのは札幌地裁による10年の和解勧告だ。11年に国と原告団双方が和解案を受け入れ、菅直人首相(当時)は「行政の努力が十分でなかった」と謝罪した。12年には被害者への救済金支払いを定めた特別措置法が施行された。
 救済制度は、患者側の国への不信感などもあり、裁判所を利用する形が取られた。患者は裁判所に提訴し、被害が認定されると慢性肝炎や肝硬変、肝がんなど症状に応じ50万~3600万円の給付金が支払われる。今年1月までに約6万8000人が受給した。 (C)時事通信社