現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応は地方自治体に任されており、対策やその効果は地域により大きく異なる。慶應義塾大学商学部教授の濱岡豊氏は4月26日、「健康影響」「対策」「市民の協力」「経済影響」という4つの観点から各都道府県の対応状況を10指標で評価しランキング化し、その結果を発表した。

トップは鳥取県、最下位は大阪府

 評価に際しては、COVID-19への対応について都道府県別に時系列データが入手可能な4項目10指標()を選定した。その上で、今年(2021年)3月21日までのデータを用いて都道府県間で比較できるよう10指標それぞれを偏差値化し、総合評価点を算出。その結果を総合評価点が高い順に並べ、10指標をレーダーチャートで示し47都道府県の特徴を比較した()。

表. COVID-19への対応状況を評価する4項目10指標

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図. 総合評価点上位5県(上)と下位5都府県(下)

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(図、表ともプレスリリースを基に編集部作成)

 その結果、総合評価点が最も高かったのは鳥取県で、「累積陽性者当たりの累積検査人数」「人口当たりの受け入れ確保病床数」という「対策」に関する2項目の評価が突出して高く、「人の流れ(乗換駅で算出)」が低評価である点を除くと全般的に対応状況が良好であった。

 総合評価点が2番目に高かった島根県は死亡者数が0人で、「累積陽性者致死率」について最上位の評価を得た。

 一方、総合評価点下位には大阪府、東京都、京都府などが並んだ。これらの都府ではいずれの評価指標による偏差値も低かったが、特に経済面の影響が大きい「客室稼働率・前年比」における評価の低さが顕著であった。

 東京都は、乗換駅および居住地区で算出した「人の流れ」は比較的高評価であり、濱岡氏は「市民の自粛不足というよりも、都の対策不足によって健康や経済への影響が大きくなっているといえる」と考察した。

早期発見、隔離、療養措置がカギ

 また、鳥取県と大阪府における評価指標の傾向を比較したところ、鳥取県では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性者数が少ない段階から検査を多数実施。昨年10月下旬ごろからの感染拡大期、いわゆる第三波以降はSARS-CoV-2陽性者数が減少に転じても検査を継続して陽性者を早期発見、隔離し、無症状患者や軽症患者などには療養を促した。その結果、全般的に陽性率を低く抑えられ、COVID-19流行拡大初期以降、客室稼働率も急速に回復したという。

 これに対し大阪府について、同氏は「検査人数が陽性者数と連動しており、陽性率がおおむね高い水準で推移していることから、全般的に検査不足であると考えられる」と説明。「病床も確保できていないため、自宅療養率が40%に達する時期も多く認められた。さらに客室稼働率は長期的に低いままであり、COVID-19対策の失敗が経済面でも深刻な影響を与えている」と指摘し、「今回の研究のように、データに基づいた評価を踏まえて対策を講じる必要がある」と訴えている。

(陶山慎晃)