2型糖尿病患者の多くが合併する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)。コーヒーの摂取により両者の発症リスクが抑制されるとの報告はあるが、どの成分が作用しているのか―。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのAsieh Mansour氏らは、コーヒーの主成分であるカフェインおよびクロロゲン酸がNAFLD合併糖尿病患者の肝臓、代謝、炎症に及ぼす影響について検討するため、二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を実施。その結果を、Nutr J2021; 20: 35)に報告した。

101例を4群に分け、サプリを6カ月間摂取

 Mansour氏らによると、コーヒー摂取とNAFLDおよび肝線維症のリスク低下との関連を示すメタ解析はあるものの、観察研究が対象に含まれてることなどから詳細は明らかでないという。そこで、2型糖尿病NAFLDを合併した2型糖尿病患者を対象に、カフェインとクロロゲン酸の有効性および安全性を検討する二重盲検RCTを実施した。

 対象は、2017年9月27日〜18年3月19日にイランの糖尿病専門クリニック2施設で治療中の30〜53歳の患者790例のうち、インスリン治療中、妊娠または母乳哺育中、過去1年間のアルコール摂取量が20g/日超、ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎といったNAFLD以外の肝疾患などを除外した101例。プラセボ群23例、カフェイン+クロロゲン酸群27例、クロロゲン酸(+プラセボ)群25例、カフェイン(+プラセボ)群26例にランダムに割り付けた。

 4群ともサプリメントとして200mgずつ(コーヒー2杯分に相当)を6カ月間摂取。ベースラインおよび6、12、18、24週時に診療を行い、ベースラインおよび24週時に血液や血圧などのデータを収集し、肝脂肪(CAPスコア)、肝硬度(LSMスコア)、肝酵素、血清サイトケラチン18(Ck-18)レベルなどを比較した。主な患者背景は平均年齢44.57歳、糖尿病の平均罹病期間4.57年、男性68%で、介入前後における食事摂取に有意な群間差は認められなかった。

肝機能への影響はないが、カフェインによるコレステロール減少効果はあり

 24週時の検査データの変化について、分散分析を用いてプラセボ群と比較した。その結果、CAPスコア、LSMスコア、Ck-18レベル、肝機能に関する主な値(AST、ALT、GGTなど)のいずれにおいても、サプリメント摂取の各群との有意差は認められなかった。代謝についても同様であったが、空腹時インスリン値はカフェイン+クロロゲン酸群でのみプラセボ群と比べ有意な増加が示された(平均差3.3μIU/mL、95%CI −1.3〜6.7μIU/mL、P=0.01)。

 コレステロール値については、カフェイン群でのみプラセボ群と比べ有意な減少が認められた(平均差−20.66mg/dL、95%CI −40.55〜−0.78mg/dL、P=0.04)。安全性に関しては、いずれの群でも有害事象の報告はなかった。

 今回の結果について、Mansour氏らは「2型糖尿病にNAFLDを合併した患者に対するコーヒーの主成分の有効性について検討した初の二重盲検RCTにおいて、200mg/日のサプリの6カ月間摂取による脂肪肝や肝線維症、代謝および炎症系への著明な影響は認められなかった」と結論。その上で「複数の観察研究では、今回の摂取量を上回る用量で有効性が示唆されている。そのため、より高用量かつ長期間で検討する必要がある」との見解を示している。

松浦庸夫