英・King's College LondonのCristina Menni氏らは、同国のワクチン接種プログラムにおける新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種者を対象に、ワクチン副反応について前向きに調査した結果をLancet Infect Dis2021年4月27日オンライン版)に発表。「ワクチンによる全身性副反応は軽度で持続期間は短く、発現は4人に1人と、臨床試験における発生率に比べて低率であった」と報告した。

頭痛、倦怠感などが発現

 Menni氏らは、2020年12月8日~21年3月10日にファイザー-ビオンテックのBNT162b2ワクチンまたはオックスフォード-アストラゼネカのChAdOx1 nCoV-19ワクチンを1回または2回接種後、8日以内に全身および局所の副反応を自己申告したCOVID Symptom studyアプリのユーザー62万7,383人のデータを解析した。

 BNT162b2ワクチンの1回接種者は28万2,103人、2回接種者は2万8,207人、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの1回接種者は34万5,280人で計65万5,590回の接種が行われた。

 1つ以上の全身性副反応は25.4%(62万7,383人中15万9,101人)で報告された。内訳はBNT162b2ワクチン1回接種者の13.5%(28万2,103人中3万8,155人)、2回接種者の22.0%(2万8,207人中6,216人)、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種者の33.7%(34万5,280人中11万6,473人)。

 副反応の多くはワクチン接種後24時間以内に最も高率に報告され、持続期間は平均1.01日だった。

 全身性副反応としては、頭痛、倦怠感、悪寒と震え、下痢、発熱、関節痛、筋肉痛、悪心などがあった。発現頻度が最も高かった頭痛は、BNT162b2ワクチン1回接種者の7.8%、2回接種者の13.2%、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種者の22.8%に見られ、2番目に高かった倦怠感は、それぞれ8.4%、14.4%、21.1%で報告された。

 1つ以上の局所での副反応は66.2%で報告された。内訳はBNT162b2ワクチン1回接種者の71.9%、2回接種者の68.5%、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種者の58.7%だった。

 局所的副反応には、注射部位の痛み、腫脹、圧痛、発赤、痒み、熱感、腋窩腫脹などがあった。圧痛は頻度が最も高く、BNT162b2ワクチン1回接種者の57.2%、2回接種者の50.9%、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種者の49.3%で報告された。

女性、55歳以下で発現率高い

 一方、1つ以上の全身性副反応が発現するリスクは、男性に比べて女性で有意に高かった〔BNT162b2ワクチン1回接種後の発現率16.2% vs. 9.3%、オッズ比(OR)1.89、95%CI 1.85~1.94、P<0.0001、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種後の発現率39.3% vs. 26.2%、同1.82、1.79~1.85、P<0.0001〕。

 また、1つ以上の全身性副反応が発現するリスクは、55歳超に比べて55歳以下で有意に高かった(BNT162b2ワクチン1回接種後の副反応発現率20.7% vs. 10.6%、OR 2.19、95%CI 2.14~2.24、P<0.0001、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種後の副反応発現率46.9% vs. 30.7%、同1.99、1.96~2.03、P<0.0001)。局所性副反応の発現リスクも全身性と同様に、女性と55歳以下で高かった。

 SARS-CoV-2感染歴がない者に比べて、感染歴がある者はワクチン接種後に全身性副反応を発現するリスクが有意に高かった(BNT162b2ワクチン1回接種後の副反応発現率35.8% vs. 12.3%、OR 3.97、95%CI 3.83~4.12、P<0.0001、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン1回接種後の副反応発現率53.1% vs.32.9% 、同2.31、2.23~2.38、P<0.0001)。局所性副反応の発現リスクも全身性と同様に感染歴がある者で高かった。

接種後3週間で感染リスク70%低下

 SARS-CoV-2感染リスクは、ワクチン初回接種後12~20日にBNT162b2ワクチンで58%(95%CI 54~62%)、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンで39%(同21~53%)、21~44日にそれぞれ69%(同66~72%)、60%(同49~68%)低下した。

 BNT162b2ワクチンの第Ⅲ相臨床試験では、頻度が高い副反応は注射部位の痛み(71〜83%)、倦怠感(34〜47%)、頭痛(25〜42%)だったが、今回の検討での発現率は、注射部位の痛みが30%未満、倦怠感と頭痛は10%未満だった。同様に、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの第Ⅲ相試験では、全身性の副反応が初回投与後の若年者(18〜55歳)の88%で見られたが、今回の研究では初回投与後の発現率は46.2%と低かった。

 このように今回の研究では、副反応の発現率が臨床試験の結果から予想されるよりもはるかに低かったものの、ワクチン接種後の感染率は2〜3週間後に低下し、これまでの試験結果およびイスラエルのワクチン接種プログラムにおける最近のデータと一致した結果が得られた。

 COVID Symptom studyの主任研究者でKing's College LondonのTim D Spector氏は「実社会において特に感染リスクの高い50歳以上で、ワクチンの副反応は軽度で持続期間は短いことが今回示された。また、社会的対策とワクチン接種により感染率が低下したことも明らかになった。1回接種後3週間で感染リスクが70%低下したというのは素晴らしいニュースだ。未接種の集団に対してもこの有効な戦略を継続する必要がある」と述べた。

 Menni氏は「われわれの研究結果から、両ワクチンによる副反応の発現率は臨床試験と比べて低く、一般集団における安全性が示唆された。副反応を危惧するワクチン接種希望者にとって有用な情報となるだろう」と指摘した。

(大江 円)