【ワシントン時事】バイデン米大統領は29日で政権発足100日を迎える。新型コロナウイルスの感染状況に明るい兆しが見え始め、政権運営に自信を深める。一方、経済対策などで議会での合意形成よりも政策実現のスピードを重視する場面が増え、就任時に誓った「超党派」の政治や社会の分断の克服は遠いままだ。
 「まだやるべきことは多いが、驚くべき進歩だ」。バイデン氏は27日、ワクチン接種者であればマスクなしで屋外の活動が可能になると発表。前向きなトーンは、厳しい現実への覚悟を国民に求めた就任演説とは打って変わった。
 多くの予想を裏切ったのがバイデン氏の政策決定の素早さだ。カリフォルニア大の調べによると、バイデン氏がトランプ前政権の政策の撤回などを目的に27日までに署名した大統領令は40本。同期間のオバマ元大統領(19本)やトランプ氏(29本)を上回る。対中国では、日本など同盟国との包囲網構築に着手し、経済・軍事面での息の長い競争に次々布石を打つ。
 自信を深めるにつれ、大きな発言も目立つようになった。先月の記者会見では、富を持つ者から勤労者が報われる社会に「パラダイムを変えたい」と語り、危機対応から離れた実績づくりに意欲をのぞかせた。
 背景には、バイデン氏が持つ有利な政治状況がある。上下院の与党多数派は来年の中間選挙で崩れかねず、支持率が比較的高い今こそ「レガシー(政治的遺産)を残すチャンス」(米メディア)という見方だ。
 一方、コロナ対策を含む経済対策は共和党からの協力取り付けを諦め、与党単独で成立。新たに発表した2兆ドル(約220兆円)のインフラ投資計画は関連の薄い福祉予算などが含まれ、「危機を口実にしたばらまき」との批判がくすぶる。
 共和党は「超党派の政治をすると見せ掛けた『おとり商法』」(マッカーシー下院院内総務)と対決姿勢を強める。アジア系への憎悪犯罪は後を絶たず、差別に基づく過剰な警官の取り締まりへの黒人社会の不満は再燃の兆しも見せる。「ハネムーン期間」と言われる100日が過ぎた後の政権運営は不透明さが漂う。 (C)時事通信社