二次喫煙(受動喫煙曝露)による肺がんなどのリスク上昇ついては報告されているが、一次喫煙と同様に口腔がんリスクも高まるのか―。ポルトガル・Instituto Universitário de Ciências da SaúdeのLorena C. Mariano氏らは、受動喫煙への曝露と口腔がんリスクの関連についてシステマチックレビューおよびメタ解析を行い、結果をTob Control2021年4月26日オンライン版)に報告した。

20〜80歳の約7,000例を解析

 世界における2018年の口腔がん(口唇がん、中咽頭がんを含む)の新規患者は44万例超、死亡者数は22万例超と報告され、危険因子として喫煙や飲酒などが知られる。一方、受動喫煙への曝露による健康リスクとしては心疾患、喘息、低出生体重児、乳幼児突然死、肺がんなどが挙げられる。しかし、口腔がんとの関連については明確でないことから、今回Mariano氏らはシステマチックレビューおよびメタ解析で検討した。

 2020年4月9日〜5月10日にPubMed、Web of Science、Scopus、Cochrane Libraryに加え、Open GreyやProQuestなどに登録された論文から、年齢や性、地域にかかわらずヒトを対象に受動喫煙曝露群と非曝露群で口腔がんリスクを比較した症例対照研究およびコホート研究480件を抽出し、5件(いずれもコホート研究、1件は女性のみ対象、年齢は20〜80歳)を解析対象とした。なお、口腔がん以外のがん、口腔がんに限定したデータのない頭頸部がんなどを対象とした論文は除外した。

 5研究は2008〜19年に、アジア(3件)、欧州(1件)、北米、中南米、欧州の多施設(1件)において行われた。対象者の内訳は口腔がん発症群1,179例、対照群5,798例、受動喫煙への曝露は3,452例、非曝露は3,525例であった。

曝露期間10〜15年でリスクが2倍に

 ランダム効果モデルを用い、女性のみを対象とした1件を除く4件についてメタ解析を実施した。その結果、受動喫煙の非曝露群に対する曝露群の口腔がん発症のオッズ比(OR)は1.51(95%CI 1.20〜1.91、P=0.0004)と、有意なリスク上昇が認められた。試験間の有意な異質性(heterogeneity)は示されなかった(I2=0%、P=0.41)。

 次に、受動喫煙の曝露期間について検討した4件を解析したところ、曝露期間10〜15年の例では非曝露群に対する口腔がん発症リスクの有意な上昇が認められた〔OR 2.07、95%CI 1.54〜2.79、P<0.00001、I2=0%、P=0.76〕。

 以上の結果から、Mariano氏らは「今回のシステマチックレビューおよびメタ解析により、受動喫煙への曝露と口腔がん発症リスクに有意な関連が示された」と結論。その上で、「この結果は公衆衛生専門家や研究者、政策決定者らが効果的な受動喫煙防止策を策定する上で役立つだろう」と付言している。

松浦庸夫