菅義偉首相が衆院解散・総選挙を7月23日~9月5日の東京五輪・パラリンピック後とする公算が大きくなった。新型コロナウイルスの感染状況の深刻化や25日投開票の衆参3選挙での与党全敗を受け、五輪前は難しいとの判断を一段と強めた。首相は秋に向けてコロナ対策などに全力を挙げ、政権の立て直しを急ぐ方針だ。
 首相は26日、3選挙全敗について記者団に聞かれると「7月末を念頭に、希望する高齢者全員に2回目のワクチン接種を終えられるよう政府を挙げて取り組んでいきたい」と表明。衆院解散の時期に関する質問には「コロナ対策が最優先」と強調した。
 政府高官は変異ウイルスの拡大を踏まえ、「今、解散などできるはずがない」と指摘。自民党幹部も「コロナ感染を抑え込めていない段階で解散などできない。猛反発を受ける」と語った。
 首相は今後、秋をにらみつつ、内政・外交の課題で実績を重ね、政権への追い風にしたい考え。衆院議員の任期満了は10月21日に迫っており、コロナ感染を抑えて五輪を「成功」させ、9月下旬の自民党総裁選を先延ばしして解散する日程を軸にシナリオを描いているとみられる。
 政権の浮沈のカギを握るのはワクチン接種だ。先進7カ国(G7)で接種率最下位の汚名を返上するため、首相は27日、政府直轄の大規模接種会場を東京都と大阪府に設けるよう指示。まずは高齢者向けの「7月末」の接種完了に総力を挙げる。
 5月中旬には首相肝煎りのデジタル改革関連法案が成立する見通し。6月には英国で先進7カ国首脳会議(G7サミット)を控える。首相はコロナ対策と併せ、これらを通じて「国民のために働く内閣」(首相)をアピールする構えだ。
 当面の焦点は、3回目の緊急事態宣言が5月11日の期限で解除できるかどうかだ。宣言対象区域外の感染も拡大している。宣言の延長・対象拡大となれば国民の批判が一段と強まるのは避けられない。
 政府直轄でワクチン接種を進めたとしても、3カ月の会場設置期間に東京で打てるのは数十万人規模。接種の大半を担うのは自治体だ。九州の首長の一人は「ワクチンの入荷予定も知らされず、医師や看護師も足りない。高齢者接種を終えるめどは立たない」と語った。
 7月4日には衆院選の前哨戦となる都議選の投開票も待ち受ける。自民党は2017年の前回、小池百合子知事率いる地域政党「都民ファーストの会」に大敗した。今後のコロナ感染の状況次第で五輪が中止に追い込まれる可能性も排除できず、首相にとって難しいかじ取りが続く。 (C)時事通信社