【バンコク時事】新型コロナウイルスの影響の長期化で、タイの観光業を支えてきたゾウが苦境に立たされている。入場者が激減した観光施設を去り、慣れない環境で命を落とすゾウも少なくなく、保護団体は危機感を募らせている。
 タイではゾウ乗りや曲芸が外国人に人気で、ゾウと触れ合えるエレファントキャンプは観光客でにぎわっていた。感染拡大後はキャンプを去るゾウが相次ぎ、保護団体「セーブ・エレファント財団」のサンドゥエン代表によると、約300頭がキャンプを離れ、木材運搬の仕事に当たっている。参拝者の施しを期待し、寺でゾウと1日過ごすゾウ使いもいる。
 ゾウ使いの故郷の農村部に連れて行かれたゾウの間では、農薬が混ざった川の水を飲み、中毒を起こした例が後を絶たない。サンドゥエン代表は「昨年5月以降、化学物質入りの水を飲んだ8頭が死んだという報告を受けた」と肩を落とす。
 国軍によるクーデターが発生したミャンマー情勢もゾウに深刻な影響を及ぼしている。国境を越え、ミャンマーで木材を運搬しているゾウは、クーデター後の混乱の中で身動きできない状態だ。
 保護団体はゾウが安全に過ごせるようタイ政府に国有ジャングルの利用を要請したが、回答はない。サンドゥエン代表は「政府の支援は望み薄。ゾウの所有者が助け合うしかない」と話している。 (C)時事通信社