2回接種タイプの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンについて、1回目の接種と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の入院率との関連を全国規模で検討した初の研究結果が報告された。英・University of EdinburghのEleftheria Vasileiou氏らは、スコットランドのほぼ全人口をカバーするCOVID-19データベースを用いた前向きコホート研究で、ワクチンの1回目接種から4週後(28~34日)の入院リスクが89%低下したとLancet2021年4月23日オンライン版)に発表した。80歳以上の高齢者でも入院リスクを83%減らす効果が示された。

ファイザー製で91%、アストラゼネカ製で88%の入院リスク低下

 研究では、スコットランドの人口の約99%に相当する540万人のワクチン接種、プライマリケア、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査、入院、死亡のデータが紐付けされたデータベースを利用。英国でSARS-CoV-2ワクチンとして承認されているファイザー製およびアストラゼネカ製のワクチンの1回接種による有効性を検討した。

 時間依存性CoxモデルおよびPoisson回帰モデルを用い、交絡因子の調整および傾向スコアの逆数による重み付け後に、ワクチン未接種群に対する1回接種群のCOVID-19関連入院率比(RR)を算出。ワクチン1回接種後のCOVID-19関連入院の低下率を推定した。
 解析の結果、2020年12月8日~21年2月22日に133万1,993人(平均年齢65.0歳、女性60.0%)が1回目のワクチン接種を受けていた。内訳は、ファイザー製が71万1,839人、アストラゼネカ製が62万154人だった。

 1回目のワクチン接種後28~34日におけるCOVID-19関連入院率は、ファイザー製ワクチンで91%(95%CI 85~94%)、アストラゼネカ製ワクチンで88%(同75~94%)いずれも低下、両ワクチンを合わせると89%(同83~92%)と大幅な低下が認められた。

80歳以上でも80%超の高い有効率

 年齢別の検討では、両ワクチンを合わせた1回接種後28~34日におけるCOVID-19関連入院率は、18~64歳で92%(95%CI 82~97%)、65~79歳で93%(同73~98%)、80歳以上で83%(同72~89%)低下し、高齢者でも高い有効性が確認された。

 80歳以上におけるワクチン1回接種後28~34日の入院率は、ファイザー製ワクチンで88%(同76~94%)、アストラゼネカ製ワクチンで81%(同60~91%)低下した。

接種後早期の予防効果には、健康人限定の接種プログラムが影響

 一方、ワクチン接種後早期(14日未満)の入院率を見ると、接種後0~6日におけるファイザー製ワクチンは86%(95%CI 81~90%)、アストラゼネカ製ワクチンは72%(同66~77%)、両ワクチンでは75%(同71~79%)低下。接種後7~13日においては、それぞれ53%(同45~59%)、68%(61~73%)、54%(48~59%)の低下と若干低かった。

 この点についてVasileiou氏らは、「接種の予約時点で、直近4週間以内に、COVID-19の症状が見られた人、COVID-19の検査で陽性判定を受けた人、自主隔離を行っていた人などに対してワクチン接種の延期を要請するなど接種対象を健康人に限定したことや、SARS-CoV-2ウイルスの感染リスクを最小限に抑えるため、行動指針遵守の重要性を書面で助言したことなどが影響した」と指摘している。

 一方で、「接種後14日目以降は、そうしたワクチン接種プログラムによる影響が弱まったと考えられ、本来のワクチンの有効性を反映している可能性が高い」と指摘。その上で、「今回の主な検討対象とした接種後28~34日で示された有効性が、恐らくワクチンの真の効果を反映していると考えられる」との見解を示している。

 以上を踏まえ、スコットランドでは全国規模の1回のワクチン接種により、「COVID-19に関連した入院のリスクが大幅に低下した。ただし、未確認の交絡因子が結果に関与している可能性は否定できない」と結論している。

(太田敦子)