東京五輪・パラリンピック組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)などは、新型コロナウイルス感染対策をまとめたプレーブックの第2版を公表した。選手のウイルス検査を原則として毎日実施するなど、第1版よりも厳格化した内容。だが詳細が明らかでない面も多く、「安全安心」を実感できる状況には至っていない。
 第2版では、選手らに対し唾液抗原検査を連日行い、必要に応じてPCR検査も実施の方針を明記。組織委は看護師500人の協力を求め、大会指定病院の確保も進める。全国の医療現場がコロナ対応やワクチン接種に追われる中、負荷をかけずに必要な人員が確保できるかには疑問符が付く。
 28日の記者会見で見解を問われたIOC幹部のクリストフ・デュビ氏は「医療システムに与えるプレッシャーを軽減したくて(作業が簡略な)唾液検査にしている」と述べただけ。関係者は「地域医療に負担をかけない」と口をそろえるが、実現の姿は描かれていない。
 選手らは事前に活動計画を提出するが、これに沿った行動順守の実効性についても不十分な印象だ。各国・地域の選手団はコロナ対策責任者を指名して状況を確認することが求められているものの、第三者による厳しい目がなければ担保は難しい。規則を破れば大会参加資格を失う可能性も示されたが、試合を終えた選手には意味をなさないかもしれない。
 ◇選手以外の管理困難
 さらに選手村の外に宿泊する大会参加者は数万人規模。行動管理は一層困難になる。ある国際競技団体の役員は「生活習慣が違い、ルールを守れっこない」とさえ言う。制裁を科す基準と過程、判断主体も全く不透明だ。
 他にも検査のタイミングや手続き、事前キャンプでの検査体制、ワクチン接種者の位置付けなど明確でない課題は多い。プレーブック最終版は6月に公表予定。誰からも納得が得られる内容を固められるか。残された時間は多くない。 (C)時事通信社