ANAホールディングスは30日発表した2022年3月期連結業績予想で、過去最大の赤字を計上した前期から一転、純損益35億円の黒字を掲げた。貨物事業や非航空事業に注力し、人件費などコストの削減も進め改革を加速して、旅客需要の戻りを待つ構えだ。ただ、新型コロナウイルス禍は長期化し、足元では感染が再び急拡大。黒字化の実現に向け綱渡りの経営を強いられそうだ。
 「黒字化を必ず達成するという強い決意の下、業績を見通した」。昨年から黒字化実現にこだわってきた片野坂真哉社長は30日の記者会見で、こう強調した。
 度重なる感染拡大に苦しんだ21年3月期の連結純損益は、4046億円の巨額赤字を計上。巣ごもり需要などで貨物事業が過去最高の売上高となったが、旅客需要の急激な落ち込みを補うことはできなかった。
 22年3月期は国内線需要がコロナ前の平均8割、国際線は3割に戻るという青写真を描く。ワクチン接種の進展で回復する米欧の航空会社を引き合いに、国内線は21年7~9月期以降に回復すると想定。各国の出入国規制の緩和は遅くとも年内に始まるとみているが、全てはコロナの感染状況に大きく左右される。
 貨物事業の収入を拡大し、旅客需要が下振れした際には貨物便を増やして補う考え。人件費の削減などで3000億円規模のコストを抑制。顧客基盤を活用した非航空事業の強化も急ぐが、今年4月に組織再編したばかりで収益化には時間がかかる。
 ANAは22年3月期連結売上高を1兆3800億円と予想する一方、純利益は35億円にとどまると見込む。感染拡大のリスクは今後も付きまとい、片野坂社長は「コスト削減はあらゆる知恵を絞り、(感染が長期化すれば)第2、第3の手を打って乗り切る」と語る。業績の回復に向け、正念場が続く。 (C)時事通信社