【ニューヨーク時事】新型コロナウイルス禍で自宅に閉じこもりがちになり、心の問題を抱えやすいのは世界共通の課題。こうした中、ニューヨーク在住の日本人アーティストが、芸術活動で精神的不調を緩和する「アートセラピー」を通じ、多くの子供の心をリモートで癒やす構想を練っている。東日本大震災後に福島県の子供に体験してもらったプログラムを生かす方針だ。
 アートセラピーは専門家に従い、絵画や粘土造形など創作で内面に抑圧されている感情を吐露し、自分の状況を客観視して心の健康につなげる療法。言語での表現能力が十分でない子供に適しているとされる。
 構想実現を目指しているのはニューヨークのNPO「トゥデイ・イズ・ザ・デイ・ファンデーション」代表の芸術家平川典俊さん(60)。アートセラピーが社会で認知されているシンガポールで2014~18年に毎年、福島県広野町の小学4~6年生の希望者を招いて受けてもらった。元気になって帰国した姿を見て驚く親もいたという。
 「通常は1対1で守秘義務もあるが、共通の体験をした人々には集団でも効果が期待できるため、コロナ禍で応用可能」と平川さん。構想を強く支持する美術館「ナショナル・ギャラリー・シンガポール」関係者らと7~15歳対象のプログラムを考案中だ。
 平川さんは「子供が楽しめることが重要。日本には他国にない子供向け文化がある。アートセラピーを軸にゲーム感覚で国籍、地域に関係なく参加できるものを創りたい」と、NPOで寄付を募る一方、日本のゲーム会社にも協力を呼び掛けている。 (C)時事通信社