【ニューヨーク時事】米国で3種類目の新型コロナウイルスワクチンとして登場した米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチン。接種が1回で済むため鳴り物入りで使用が始まったが、血栓症の報告を受けて一時中止された。製造面でも問題が起き、逆風が続いている。
 J&Jのワクチンは日本では承認申請されていないが、米国では2月末に緊急使用許可が下りた。先に許可された米ファイザー、米モデルナ製が2回接種が必要な一方、J&J製は1回で済み、他社製に比べ保存も簡単。バイデン大統領も「危機収束に向けた心強い進展」と期待を寄せた。
 ところが、英アストラゼネカ製ワクチンでも報告された深刻な血栓症が接種後に発生。4月下旬までに17人が発症し、うち3人が死亡した。ただ、既に約800万回の接種が済んでおり、当局は発症が「非常にまれ」と判断。使用再開を許可した。
 一方、3月には同じ委託先工場で製造されていたアストラ製ワクチンの原料が混入し、約1500万回分が使えなくなる事態が発生。既に完成していたワクチンも出荷できなくなった。
 こうした問題を受け、接種再開前に実施された世論調査では、J&J製が「安全だと思う」と答えた米国人は半数未満。ファイザー、モデルナ製の7割超を大きく下回った。
 しかし、米国ではファイザー、モデルナ製ワクチンの2回目の接種を受けていない人がおり、専門家はJ&J製の利便性を強調する。変異ウイルスが広がり、米国で新規感染者数の下げ止まりが懸念される中、接種の底上げにはJ&J製の信頼回復がカギを握りそうだ。 (C)時事通信社