自動車のオーナーと、必要な時だけ利用したいドライバーを結ぶ個人間カーシェアリングが注目を集めている。新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中、自動車は「密」を避けられる移動手段。非接触型キーといった感染防止への配慮も進み、レンタカーにはない高級車に割安で乗れる点が好評を博している。
 「車中泊は完全なコロナ対策」「希少車の乗り心地を体験して」。IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)のカーシェアサービス「Anyca(エニカ)」のアプリ上では、愛車をアピールするオーナーのコメントが並ぶ。
 エニカは自動車オーナーがシェアする車を登録し、1日当たりのレンタル料を設定。利用者はアプリで利用場所や車種など条件に合った車を探し、オーナーと個人間で契約して借りる仕組みだ。
 利用料金は1日5000~2万円が相場。米電気自動車(EV)メーカー、テスラで新車が1000万円以上する「モデルS」や、独ポルシェの「911」、現在では入手不可能なクラシックカーもこの価格帯で乗れる。オーナー側にも、車に乗らない期間に駐車場代などを稼げるメリットがある。
 2015年9月のサービス開始以来、利用者数は右肩上がりだ。21年4月の会員数は45万人を超え、コロナ禍前の19年11月から1.5倍に拡大した。「まだ黎明(れいめい)期にある市場」(自動車アナリスト)で、エニカのシェアは9割に達する。
 個人間の契約のため、課題の一つは事故などトラブル時の対応。エニカでは当事者間の解決が基本だが、「問題を起こせばアプリ上の評価が下がり、深刻なら利用を停止する」(担当者)仕組みがトラブル防止に一役買っているという。
 今年3月にはスマートフォンで解錠できる非接触型キーを本格導入した。利用者はアプリで車を解錠し、車内の専用ボックスから鍵を取り出す。運転後はボックスに返却し、アプリで再び施錠。オーナーが直接渡さずに済むため、「感染防止や効率の良いカーシェアが可能になる」と担当者。今後は、「密」にも配慮した「高級車のチョイ乗り」が新たな余暇の過ごし方の選択肢になるかもしれない。 (C)時事通信社