【ニューヨーク時事】昨年春に多数の市民が命を落とすなど、深刻な新型コロナウイルス禍に見舞われた米ニューヨーク市。その重要産業である観光業に回復の兆しが見え始めた。コロナワクチン接種が進み、デブラシオ市長は経済全面再開の目標を7月1日と宣言。観光振興へ巨額の支援策を打ち出す。市民からは楽観的な声が聞かれ、業界のデータにも明るさが示されている。
 「年末までに正常に戻ると思うよ」。市中心部を代表する観光名所「タイムズスクエア」。大通りの歩道で年代物の広告看板を並べ客を待つ露天商アマドゥ・ドワイエさん(59)は回復の手応えを感じている。「昨年は悲惨の一言。だが売り上げは戻りつつあるし、全米の観光客が訪れ、週末の人通りは増えている」と笑みをこぼす。
 調査会社STRによると、営業中の市内ホテルの客室稼働率は4月24日までの週で53.8%と、昨年最悪期(14.3%)を大きく上回る。ただ、コロナ禍直前の昨年2月末の77.1%には及ばない。
 こうした中、市は観光促進キャンペーンに過去最大の3000万ドル(約33億円)の巨費を投じ、てこ入れを図る。観光客を呼び込み、40万人とも言われた関連業界の雇用を極力早く取り戻したい意向だ。
 市当局によれば、来訪者数は2019年に過去最高の6660万人を記録。20年はコロナ禍で2230万人に落ち込んだが、市は21年に3640万人に回復し、24年には19年実績を超える「完全復活」のシナリオを思い描く。市の魅力の一つでもあるブロードウェー公演が予定通り9月に再開すれば、観光客の流入にも弾みがつきそうだ。 (C)時事通信社