大相撲夏場所は9日に東京・両国国技館で初日を迎える。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発令された中での開催は3場所連続。緊張感も漂うが、大関に返り咲いた照ノ富士は再び最高位を目指し、東前頭筆頭の若隆景は新三役の座をにらむ。
 ◇不自由さに耐え
 夏場所は発令期間と重なる3日目まで、昨年春場所以来となる無観客での開催。昨年の夏場所は中止となっただけに、正代は「場所を開いていただけるだけでも、とてもありがたい」と言う。相撲関係者の地道な取り組みが今につながっている。
 昨年5月には、コロナに感染した三段目力士の勝武士さんが亡くなった。7月場所から観客数を制限して本場所を再開し、観客には声援や飲食の自粛などを求めてきた。日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「われわれは本場所の中では一人も感染者を出していない。これは胸を張って言える」。それぞれの協力に感謝した。
 力士は不要不急の外出を控えており、御嶽海は「なかなか心からのリフレッシュはできない」と話した。そんな中でも、翔猿は「相撲に集中できるので、チャンスかなと思っている」と前向きに捉える。十両だった1年前よりも稽古に打ち込み、今では幕内上位に名を連ねている。
 本場所出場には、原則としてPCR検査を義務付けているが、場所中に感染者が出れば、打ち切りにもなりかねない。気が張り詰めた中で土俵に立ち続ける状況や、終わりの見えない不自由さに耐えながら、2年ぶりの開催を迎える夏場所。「力を出し切って、お客さんが喜ぶような相撲を見せたい」とは朝乃山。全力士の思いを代弁した。 (C)時事通信社