政府は新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言の今月末までの延長と、対象地域の拡大を余儀なくされた。当初の宣言期間は11日までの17日間という短期間で、政府内にも感染が解除レベルまで下げられるかどうか懐疑的な声が出ていた。延長に伴い、政府は休業要請の一部緩和も模索するが、感染減に向けた見通しは立っておらず、対策のちぐはぐさが目立つ。
 「感染状況は十分に下がっていない。医療提供体制は関西圏を中心に非常に厳しい」。田村憲久厚生労働相は6日、厚労省の専門家会合で、緊急事態宣言の効果が道半ばだと認めた。
 政府は先月25日、3度目となる緊急事態宣言を東京、大阪、京都、兵庫4都府県に発令。昨年春以来の大型商業施設などへの休業要請に踏み切った。期間については「最低3週間なければ効果が見えない」(厚労省幹部)との懸念が出ていたにもかかわらず、菅義偉首相ら政府首脳は大型連休中の短期集中策に固執。休業による経済のダメージを避ける思惑があったとみられる。
 結果を見れば見通しの甘さは明らか。4都府県は依然として新規感染者数が高止まりし、大阪府では入院待ちで死亡する感染者が相次ぐなど「医療崩壊」が深刻化している。
 病床逼迫(ひっぱく)の指標として、療養中のコロナ患者のうち何人が入院中かを示す「入院率」も、大阪府では1割程度から改善せず宣言延長は不可避の状況だ。3度目の宣言について、内閣官房幹部は「何のために短期集中としたのか不思議でならない」と、当初の判断を疑問視する。
 ◇ワクチン頼み
 4都府県への宣言期間中は全国各地でも新規感染者数が再び増加に転じた。北海道や福岡県などは、宣言に準じた「まん延防止等重点措置」の適用を相次ぎ要請した。
 特に福岡県は4都府県への宣言発令を決めた際、感染症専門家から「福岡も宣言レベルの状況」と指摘されていたが、県の意向も踏まえ対象から外した。一方、県から重点措置の適用要請を受けても政府は直ちに検討に入らず、結果的には県の要請を上回る緊急事態宣言の対象に追加する方針。以前から指摘されている政府と自治体の連携の悪さを露呈した。
 政府は休業要請や移動自粛など連休の感染対策について、「人流は間違いなく減少している」(首相)と強調し、休業要請の緩和を検討。一方、専門家は宣言地域だけでなく全国的にも感染力の強い変異ウイルスへの置き換わりが進むと分析しており、人出が戻れば感染拡大につながるリスクがつきまとう。
 政府関係者は、7月末までを目指す高齢者へのワクチン接種完了が新型コロナ対策の分岐点になると指摘。「それまで抜本的な対策はない。状況に応じて打つ手を考えるしかない」と話した。 (C)時事通信社