ファイザーの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(BNT162b2、トジナメラン)について、実臨床における2回接種の有効性が初の全国規模の研究から明らかになった。イスラエル保健省のEric J. Haas氏らは、同国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象にトジナメランの感染予防効果などを検証。2回接種後7日以降の感染、入院、重症化、死亡に対する95%超の抑制効果が認められたと、Lancet2021年5月5日オンライン版)に報告した。

16歳以上の全年齢層に有効

 イスラエルは世界に先駆けいち早くSARS-CoV-2ワクチンを導入し、ファイザーのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチントジナメランを昨年(2020年)12月に緊急承認した。その後、同ワクチンの有効性は複数の観察研究により推定されていたものの、2回接種の有効性を全国レベルで検証した研究はなかった。

 今回、Haas氏らは同省のサーベイランスデータから16歳以上の653万8,911人のデータを抽出。トジナメランの2回接種後7日が経過した者とワクチン非接種者を比較し、有効性を算出した。評価項目は、SARS-CoV-2の無症候性感染および症候性感染、COVID-19に関連した入院、重症化による入院、死亡とした。

 2021年1月24日〜4月3日の解析期間中、653万8,911人中23万2,268例がSARS-CoV-2に感染した(94.5%が英国で確認された変異株B.1.1.7系統)。このうち7,694例が入院、4,481例が重症化し、1,113例が死亡した。4月3日までに471万4,932人がトジナメランの2回接種を完了し、7日以降で95.3%のSARS-CoV-2感染予防効果が認められ(無症候性91.5%、症候性97.0%)、COVID-19関連入院では97.2%、重症化による入院では97.5%、死亡では96.7%の抑制効果が認められた。

 2回接種の有効性は高齢者でも若年者と同様に認められ、85歳以上では感染予防効果が94.1%、入院抑制効果は96.9%、死亡抑制効果は97%だった。なお、16〜44歳では死亡を100%抑制した。

 Haas氏らは「国ごとにワクチンの普及状況やCOVID-19流行の規模に相違があるため、今回の知見の一般化には注意を要する」としつつも、「ワクチン接種により、最終的にパンデミックの収束が可能となるだろう」との見解を示している。

(平山茂樹)