関西医科大学外科学講座診療教授の海堀昌樹氏らは、高齢肝がん肝切除術症例を対象に高齢者総合機能評価(CGA)の各指標を検討した結果、予後予測に有効な指標としてG8スコアを特定した。高齢者の手術予後を予測するのに年齢に基づくことが多いが、身体機能の個人差が大きく有用とは言い難かった。今回の指標を使えば、術後の予後が良好な症例をスクリーニングできる上、指標の維持・改善により生存期間の延長が期待できる。詳細はCancers2021; 13: 842)に報告された。

G8スコア維持群は無再発生存率と全生存率が有意に高い

 今回の研究は海堀氏の他、国立がん研究センター東病院先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野分野長の小川朝生氏、京都府立医科大学数学教室講師の吉井健悟氏らで行われた。

 研究グループは、関西医科大学病院での2014~18年における70歳以上の肝がん肝切除術施行100例を対象に、術前と術後6カ月にCGAを実施。術前から術後6カ月の変化率を算出、変化率により維持群と減少群に分類してCGAの8種類の指標について無再発生存率と全生存率を比較した。

 その結果、栄養状態や認知機能、日常生活動作などに関する8項目の質問で構成されるG8スコアが予後予測に最も有効な指標であることが分かった。G8スコアの維持群と減少群よりも無再発生存率と全生存率が有意に高かった。

 高齢者は心肺機能の低下や栄養状態の悪化などの要因を抱えていることがあり、手術を行う際には厳密な周術管理と評価が必要となる。しかし、高齢者の身体機能・精神機能・社会状況を総合的に評価するツールがほとんど活用されていない。今回の研究で有用な指標が特定できたことで、長期生存が予測される高齢者症例のスクリーニングが可能となる。また、術後にはG8スコアを指標として生存期間の延長が目指せるとしている。

(編集部)