4都府県に発令中の緊急事態宣言の延長・拡大が決まった。変異した新型コロナウイルスの割合が急増する中、政府は経済への影響を考慮し、大規模商業施設の休業要請やイベント開催制限を一部緩和する。高齢者のワクチン接種完了までが感染対策のヤマ場とみるが、「宣言慣れ」した社会にどれだけ効果が出るかは見通せない。
 ◇飲食に軸足戻す
 「大型連休が終わり、通常の時期に合わせて高い効果の見込まれる措置を徹底する」。7日の政府対策本部で菅義偉首相は感染対策の一部緩和についてこう説明した。飲食店などに感染対策の軸足を再び戻すことを意味するものだ。
 政府は宣言延長に合わせ、新型コロナ対策の基本的対処方針を改定。宣言地域では百貨店やショッピングセンターなど大規模商業施設に対し、生活必需品売り場を除く休業から、夜8時までの営業時間短縮へ要請内容を緩めた。イベントについても、「原則として無観客」から「上限5000人かつ収容率50%」まで観客を入れることを容認した。
 先月25日の宣言発令に当たり、政府は大規模商業施設などが感染を広げる「エビデンス(根拠)はない」(内閣官房幹部)としつつも、大型連休に限って人出を減らす特例と位置付け、業界団体の反対を押し切って休業要請などに踏み切った。
 延長に当たり、宣言地域からも「措置を緩める段階ではない」(吉村洋文・大阪府知事)との声が上がったことで、政府は対応に苦慮。大型商業施設やイベント対策として、休日に限り休業要請や無観客を残す折衷案も浮上したが見送られた。
 一方、対処方針には「多数の者が利用する施設」に対し、各知事が使用制限などの協力を要請できると明記。知事の判断で引き続き休業を求めることに余地を残した。宣言地域ではおおむね一律の対応を求めてきた政府だが、今回は自治体の判断に対策を「丸投げ」した格好だ。
 ◇専門家に危機感
 7日の基本的対処方針分科会では、感染力が高い変異ウイルスが主流となりつつある現状に感染症専門家から強い危機感が続出した。北海道への宣言適用を促す意見や、まん延防止等重点措置が見送られた茨城、石川、徳島3県への対応を問う声が上がった。
 対処方針では、酒持ち込みを認める店舗への休業要請や、いわゆる「路上飲み」への自粛要請も追加。検査キット約800万回分を5月中旬にも確保し、重症化しやすい高齢者のクラスター(感染者集団)防止も図ることとした。同分科会の尾身茂会長は「ワクチンが高齢者に接種されるまでがものすごく重要だ。政府は今まで以上に汗をかいてもらいたい」と注文を付けた。
 ただ対策に新味はなく、ワクチン接種頼みが実情。分科会メンバーは、今月末までに感染状況の改善が見られなければ「新たな対策を講じなければならない」と指摘。宣言の再延長や対策の再強化が必要になるとの認識を示した。 (C)時事通信社