新型コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が制限される中、現地に行かずインターネットで講義を受ける「オンライン留学」に注目が集まっている。時差などの課題もあるが、識者は新型コロナの収束後も視野に入れ、「実際の留学に向けてうまく活用してほしい」と話す。
 文部科学省によると、日本人の海外留学者数はここ数年増え続けていたが、2019年度は前年度比で6.8%減少した。春の留学シーズンにコロナ禍が重なったためとみられ、次善の策としてオンライン留学を活用する学生が増えている。
 工学院大大学院2年の北垣萌さん(24)は、建築を学ぶため昨年10月からイタリアへの留学を計画していたが、コロナ禍で白紙に。大学の職員に勧められ、今年2月から週2回のオンライン留学を始めた。「授業の進め方を事前に理解できるのがメリット」といい、感染が収束すれば10月にも実際に留学する予定だ。
 文化人類学を学ぶ宮崎公立大4年の神山果歩さん(22)も昨年、インドネシアへの留学を断念した。今年2月からオンラインで週5日、平均3時間ほど現地語で講義を受け、論文を読んで発表することもある。授業料が半分以下で済むなどの利点もあるが、「人類学は現地での調査が大前提。それができないのは残念」と話す。
 九州工業大大学院2年の増本大貴さん(25)は、19年8月からアイスランドの大学で再生可能エネルギー工学を専攻していたが、コロナ禍で20年3月に急きょ帰国。その後は自宅でオンライン講義を受けている。
 ただ、時差が9時間あるため、授業は日本時間の午後6時から午前2時まで。現地の学生と午前6時ごろまで課題に取り組むこともあり「昼夜逆転」が続く。増本さんは「家族と生活リズムが合わないのが大変」と漏らす。
 留学情報誌「留学ジャーナル」編集長の加藤ゆかり氏は「海外に行ってこそ得られる体験には置き換えられないが、時間や費用についての不安が減り、語学力も試しやすくなる。現地へ留学できた時の効果をより高めるために、うまくオンラインを活用してほしい」と話している。 (C)時事通信社