肥満は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の危険因子であると指摘されているが、BMIが正常でも23を超えると重症化や死亡リスクが上昇することが示された。中でも20~30歳代の若年成人や黒人で顕著だった。英・University of Oxford/中国・Peking UniversityのMin Gao氏らが、英国在住の約690万人を対象に行った前向きコホート研究の結果をLancet Diabetes Endocrinol2021年4月28日オンライン版)に発表した。

BMIと入院、ICU入室、死亡リスクとの関連を検討

 解析対象は、英国のQResearch一般診療データベースに2020年1月24日(英国で最初のCOVID-19患者登録日)~4月30日に登録され、BMIのデータが得られた20歳~99歳の患者691万695例(平均BMI 26.78)。主要評価項目はCOVID-19による入院、集中治療室(ICU)入室、死亡とした。

 解析の結果、COVID-19による入院が1万3,503例(0.20%)、ICU入室が1,601例(0.02%)、死亡が5,479例(0.08%)発生していた。

 Cox比例ハザードモデルを用いて性、年齢、人種/民族、喫煙歴、併存疾患を調整後のCOVID-19重症化のハザード比(HR)を算出した結果、BMIが23を超えると、BMI値に比例してCOVID-19による入院リスク(BMIが1上昇するごとの調整後HR 1.05、95%CI 1.05~1.05)、ICU入室リスク(同1.10、1.09~1.10)、死亡リスク(同1.04、1.04~1.05)が徐々に上昇した。このうちICU入室リスクについては、BMIの増加に伴い直線的に上昇していた。

年齢、人種、併存疾患との相互関係も調査

 BMIと年齢の間には有意な相互関係が認められ、BMI増加に伴うCOVID-19による入院、ICU入室、死亡のリスクは20~39歳で最も高く、年齢の上昇とともに低下した(全てP<0.0001)。

 BMIと人種/民族の間にも有意な相互関係が認められ、BMI増加に伴うCOVID-19による入院および死亡のリスクは白人に比べて黒人で有意に高かった(全てP<0.0001)。ただし、ICU入室リスクには、有意差がなかった(P=0.52)。

 さらに、併存疾患との関連を調べたところ、2型糖尿病、高血圧、心血管疾患の患者では、これらの疾患がない患者に比べ、BMI増加に伴うCOVID-19による入院リスク(P<0.0001)やICU入室リスク(P=0.010~0.050)が有意に低かったが、その差は極めて小さかった。死亡リスクに関しては、これらの併存疾患の有無による有意差はなかった(P=0.085~0.43)。

 以上の結果を踏まえ、Gao氏らは「肥満者では、併存疾患がない場合でもCOVID-19の重症化リスクが高いことが示された。特に若年成人や黒人では、COVID-19による重症化および死亡のリスクが高かった」と結論。「肥満は是正可能な危険因子であるため、肥満の治療を行い、適正な体重を維持することはCOVID-19の重症化リスクを低減する上で重要」と指摘している。

(太田敦子)