6月16日の今国会会期末と秋までの衆院選を見据え、後半国会のヤマ場となった10日の衆参両院予算委員会集中審議。立憲民主党は新型コロナウイルス感染拡大による3度目の緊急事態宣言を踏まえ、夏の東京五輪・パラリンピックの中止や再延期を検討するよう迫った。菅義偉首相はかわす答弁に終始し、開催方針は最後まで譲らなかった。
 「国民の命、暮らしを守ることと五輪開催を両立させるのは不可能だ」。立憲の枝野幸男代表は衆院予算委でこう強調。「決断は早い方がいい」と促した。
 首相は、選手らの行動範囲を宿泊施設や競技会場に限定し、一般の日本国民との接触を回避するなどと説明。「ルールに違反した場合は参加資格を剥奪する」との方針も示し、理解を求めた。枝野氏は納得せず、「医療体制や公衆衛生の良くない国(の選手)がワクチンを打って来ることは本当に可能なのか」と重ねて疑問を呈した。
 立憲の山井和則氏は「首相の頭の中は『五輪ファースト』でコロナ対策は二の次。二兎(にと)を追う者、一兎(いっと)も得ずだ」と非難。その上で、感染状況が深刻なステージ3や4でも開催する意向かとただした。
 首相は気色ばみ、「五輪ファーストでやってきたことはない。国民の命と暮らしを最優先に取り組んでいる」と反論した。だが、感染状況と開催の可否の関連については「厳格な感染対策を行って準備を進めたい」として答えず、政権浮揚効果が見込まれる五輪の開催にこだわる姿勢が浮き彫りになった。
 立憲はここに来て、五輪中止の要求を強めている。選手への同情から反発を招く可能性は捨て切れないが、各種世論調査では中止論が多い。最近の感染再拡大や7月23日の開幕まで2カ月半を切ったこともあり「政府が決断せざるを得ないタイミング」(幹部)とみる。
 参院予算委では蓮舫代表代行が、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に再延期を提案するよう主張。首相は「選手や大会関係者の感染対策を講じるとともに国民の命と健康を守っていく」と繰り返し、応じなかったが、与党からも「五輪は難しいかも…」(自民党幹部)との声が出始めている。
 与党は予算委で首相が答弁する機会をこの日で今国会最後とする方針。野党側は衆院予算委に先立つ理事会で今後も集中審議を行うよう訴えたが、与党側は言質を与えなかった。 (C)時事通信社