昨日(5月10日)、日本循環器学会と循環器疾患患者およびその家族、自治体や企業などによって構成される日本循環器協会(以下、協会)が発足した。同日開かれた会見で、協会代表理事で東京大学大学院循環器内科学教授の小室一成氏は「循環器疾患に関わる医療者、患者、企業を橋渡しする役割を担う」と設立意義を説明。今後、循環器疾患の発症予防を啓発し、正しい知識を広めるなどの活動を展開していく方針であるとした。

循環器病対策推進基本計画の実行を補完

 小室氏は、1935年に設立された日本循環器学会について、「関連学会との連携はできているが、学術団体であるという特性上、循環器疾患患者とその家族、自治体や企業、マスメディアなどとの連携には限界があった」と指摘。循環器領域の医師だけでなく、患者会や企業などの代表者も理事に就任している協会ならば、さまざまな制約を受けることなく医療関係者以外の団体、組織、個人と連携できるとした。

 また、2018年12月に成立したいわゆる脳卒中・循環器病対策基本法に基づく、「循環器病対策推進基本計画」においては、小児から成人までの予防啓発、多職種・多段階の切れ目のない医療連携、予防・リハビリテーションを含む研究の推進に関し、日本循環器学会だけでは満たせないニーズの補完に寄与するという。

 さらに、将来的には各地方に協会の支部を立ち上げ、日本脳卒中協会の各支部とも協働して活動する意向を示した。

コロナ禍の今こそ循環器疾患に関する正しい広報を

 会見で小室氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延している現在、循環器疾患患者の受診控えや診療の延期・中止などが増加している点にも言及。「急性心筋梗塞の発症から受診までに要する時間が長くなり、重症合併症の増加につながった可能性を示唆する報告もある(Open Heart 2021; 8: e001497)。こうした状況下の今こそ、循環器疾患に関する正しい情報を発信できる協会の存在が必要だ」と強調した。

写真. 会見に臨む小室一成氏(左から3人目)ら

(陶山慎晃)