新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化との関連が指摘されていた非ステロイド抗炎症薬(NSAID)をめぐり、英国で実施された大規模研究の結果が明らかになった。英・University of EdinburghのThomas M. Drake氏らが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性または感染疑いの約7万2,000例を対象に検討したところ、NSAID使用とCOVID-19患者の死亡や重症化に関連は認められなかったと、Lancet Rheumatol2021年5月7日オンライン版)に報告した(関連記事:「新型コロナへのNSAIDは是か⾮か」)。

院内死亡、集中治療室への入室などを評価

 NSAIDは、主に発熱を伴う疾患、炎症性疾患、リウマチ性疾患に対する解熱、鎮痛、抗炎症目的で世界中で広く使用されているが、COVID-19流行の初期段階からCOVID-19重症化への関与が議論の的となっていた。その後、両者の関連を検討する研究が幾つか行われたが、いずれも小規模なものであった。

 今回、Drake氏らは英国のイングランド、スコットランド、ウェールズを包括した急性呼吸器疾患と新興感染症に関するコホート研究ISARIC CCP-UKを活用。SARS-CoV-2陽性または感染疑いで入院した7万2,179例を抽出し、入院前にNSAIDを使用していた群と非使用群に分けて転帰を比較した。主要評価項目は院内死亡、副次評価項目は来院時のCOVID-19重症度、集中治療室への入室、侵襲的人工呼吸器使用、非侵襲的人工呼吸器使用、酸素補充療法の実施、急性腎不全とした。

 7万2,179例中4,211例(5.8%)が入院前にNSAIDを使用していた。傾向スコアマッチングにより年齢、性、糖尿病、心疾患などを調整した解析の結果、主要評価項目の院内死亡は、使用群が非使用群の0.95倍(オッズ比0.95、95%CI 0.84〜1.07倍、P=0.35)だった。副次評価項目についても、いずれも両群で大きな違いは認められなかった()。

表. NSAID使用の有無別に見た転帰

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Lancet Rheumatol 2021年5月7日オンライン版)

 これらの結果について、同氏は「NSAIDは、COVID-19患者に対し安全に使用できるという明確なエビデンスが示された。今回の知見は、臨床医および患者に対し、COVID-19の流行前と同様にNSAIDを使用することへの安心感を与えるだろう」とコメントしている。

(平山茂樹)