高齢者対象の新型コロナウイルスワクチン接種が本格化する中、先着順に予約を受け付ける自治体で申し込みが殺到し、システムがパンクするなどトラブルが相次いでいる。有料で予約を代行する業者も現れており、専門家は「混乱を避けるため抽選が望ましい」と訴える。
 すでに集団接種の予約が始まった自治体では、開始直後から専用サイトやコールセンターにアクセスが集中し、システムに不具合が発生。通信大手各社は10日、混雑回避のため自治体の受け付け番号への通話を制限した。大阪府茨木市はインターネットに不慣れな人を想定し予約窓口を用意したが、徹夜覚悟の高齢者が窓口に殺到。市は同日、「健康や安全を損なう」として窓口予約を中止した。
 こうした混乱に乗じ、有料の予約代行業者も現れた。ツイッター上で予約代行を募る業者は、これまでに全国で200件以上を処理したといい、「1000円で、基本的に後払い。高齢者の子どもの申し込みが多い」と話す。
 詐欺まがいのケースもある。「ワクチン接種の予約が大変なので、2000円で請け負います」。4月26日、福島県会津若松市に住む80代女性に、突然電話がかかってきた。市によると、「日本赤十字会」と架空の団体を名乗ったという。女性は不審に思い、市に相談し依頼しなかった。
 国民生活センターによると、「10万円を振り込めばワクチンの接種順位を上げる」とスマートフォンに通知が届いたり、「中国製ワクチンを数万円で接種できる」と電話があったりしたとの相談が寄せられ、同センターが注意を呼び掛けている。
 一方、先着順から抽選方式に切り替えた自治体もある。福岡県嘉麻市は、75歳以上を対象とした接種予約を6月分から抽選にした。今月20日まで電話や郵送、電子メールで受け付けるという。
 慶応大の栗野盛光教授(ミクロ経済学)は「今は親戚や子どもが代わりにアクセスしてサーバーがダウンしている状態。競争が起きて高額な代行業者が出てくると、公共サービスの公平性に反する。抽選であればこうしたリスクを軽減でき、無用な混乱を避けられる」と話している。 (C)時事通信社