パラ・パワーリフティングの日本代表が、3月下旬に英国のマンチェスターで開催されたワールドカップ(W杯)に出場した。新型コロナウイルスが世界的に流行する中での遠征には議論があったが、日本連盟の吉田進理事長は「対策は徹底しており、日本にいるより安心感があった」と振り返る。
 W杯はホテル、バス、会場の三つを外部との接触を完全に断つ「バブル」方式にした。参加選手は指定のホテルに宿泊。食事は決められた時間に決められた場所で受け取り、部屋で食べる。練習はホテルのトレーニングルームでできたが、1回45分のみで事前の申請が必要だった。敷地外に出ることはもちろん、廊下で他の選手と話をすることも禁止された。
 男子59キロ級の光瀬智洋(シーズアスリート)は部屋から原則として出られず、会場の下見もできなかったが、「きっちりしたPCR検査が行われ、守られていたので安心感はあった」と話す。
 ところが、日本以外の選手5人がこのルールを破った。この大会は失格となり、東京パラリンピックまでW杯出場停止の処分。東京パラの出場要件を満たせなくなる重い罰則が科されたという。
 試合当日に移動で使う大型バスの定員は、選手なら8人、役員は10人までに制限された。運転手も3日に1回、PCR検査を受け陰性を証明。試合は無観客で、会場に入れるのはPCR陰性の人のみという徹底した対策の下で大会が無事に行われた。
 吉田理事長はこの経験を基に東京五輪・パラでも選手村、バス、会場の3カ所を「バブル」にすることが重要だと考えている。しかし、一競技のW杯と総合大会とでは参加人数の規模が違う。例えば選手村には料理、清掃担当など多くの人が関わっており、その全員に頻繁なPCR検査を実施できるのか。「膨大な手間やお金もかかる。でもやるのなら本当にそこまでやらないと駄目だと思う」と指摘した。 (C)時事通信社